【魔法使いの約束】最凶の魔女は、月に愛される (ページ5)

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第二話目覚めと始まりページ5

〜Aside〜

－－嗚呼、酷く懐かしい夢を見た。
そう思いながら、私は閉じていた瞼をゆっくりと開く。

昔に聞いた酷く遠く、古い懐かしい歌。私の為と言い、歌っていたあの双子。

そこまで、思い出して私は思い出すのを止めた。……今更、それを思い出したとしても何も変わらないのだから。

そう思いながら、横たえていた体をベッドから起こす。今は、何時だろうかと思いながら近くにあった時計を見た。

時計の針は、ちょうど12時を指しており窓から入り込む陽の光から昼時だということが分かる。

貴｢……少し、眠り過ぎましたか。まぁ、とくにやる事も無いですから構いませんけど｣

そうポツリ、と呟きながら私はぐぐっと凝り固まっていた背中と肩を伸ばす。昨日から、魔法薬を生成し続けたからか未だに疲れが溜まっていた。

近くの机は、本棚から引っ張り出した本、フラスコ、調合した液体が無造作に広げられ散らかっていた。

貴｢後で、机の上も片付けないといけませんね……。それに、調合した薬も少し調整しなければ｣

そう考えながら、近くに掛けていた白のコートを羽織る。流石に、昼と言っても北の国は日が出ているというのに少し寒い。

私の家の周り一帯には、私の魔法を掛けて一定の温度を保っているとはいえやはり寒いモノは寒い。

貴｢さて、今日はどうしましょうか。特に、予定もありませんし近くの街にでも行って足りない材料でも買いましょうか｣

そう、足りなかった材料を思い返していたその時。－－突然、胸がドクリと一つ大きく鼓動した。

貴｢……っ！｣

それに引き続き、胸がまるで焼かれるような熱を持ち始める。それに、耐えられず私はがくんと膝を着いた。

貴｢っぁ、くっ、ふ……｣

ドクドクと、異様な音を立てて心臓が鳴る。それに、同調するように熱も上がり酷い息苦しさに胸元を掴んだ。

貴｢(っ、何だこれは……？まるで、全身が燃え盛るような痛みと熱さ)｣

そう、初めての感覚に戸惑いながらそれでも残っていた意識を回転させゆっくりと呼吸を繰り返す。

すると、ずっと体に溜まっていた熱が呼吸と共に外へと出ていく感覚がした。

貴｢ふっ、う……。は、ぁ｣

－－あれから、何秒経った？数分？それとも、数十分？分からない。
けれど、痛みと熱さはもう感じ無くなっていた。

貴｢っ、何だったんだ……？今の感覚は｣

そう、先程までの感覚を思い出しながらゆっくりと最後に息を吐く。