【文スト】罪の糸 (ページ5)

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第一話ページ5

とある日の朝、廃墟の辺りを慌ただしく人が立ち入っていた。理由は、勿論。とある、作業者からの一本の通報からである。

今日、取り壊し予定であった廃墟の中に入ると死体があると云う通報が警察に入り込んだのだ。

そして、警察以外にも"武装探偵社"と云う人物らがその現場に集まり現場検証を行っていた。

？「うっ、酷いですね……」

その現場である場所で、死体を見ている一人の青年がいた。斜めに不揃いに切りそろえられた白髪と、薄い琥珀の瞳がユラユラと不安げに揺れている。

？「一体誰が、こんな酷いことを……。"太宰さん"は、犯人の検討とか付いてるんですか？」

"太宰"と呼ばれた男性は、ふるふると小さく頭を振り否定の意を示す。その髪と同じ茶の瞳は、どこかを睨むようにして見つめていた。

太「良いや、これっぽっちも分からない。犯人像が、全然浮かばないしね。敦君は、なにか分かったかい？」

敦「いいえ、僕も全然分かりません。けど、変ですよね。コレで、四件目ですよ」

そう云いながら、武装探偵社社員である"中島敦"は死体をみながら呟いた。

敦「それに、何だか乱歩さんも苦戦してる見たいですし。こんな事、初めてですよね」

太「嗚呼、そうだね。あの乱歩さんも、あんなに悩むなんて初めてだ。事件に規則性も、無いから犯人像も浮かばないからお手上げだね」

そう云い、自身の両手をヒラヒラと振り疲れたような表情を零す"太宰治"。

敦「はぁ、もしもまたこんな事が起きたら僕たちの手に負えないかもしれませんね。それに、被害者って全員……」

太「政府の役人だから、まぁまず表沙汰には出来ないだろうねぇ」

そう云い、死体が転がされていた血が染み込んだコンクリートの床を見る。そこには、倒れていた格好を再現した白テープが貼られている。

太「まぁ、こんな派手に事件を起こしてたらそのうち捕まる筈さ。軍警も、こんなこと何回もされたら黙ってるはずがないしね」

敦「そう、ですよね……。でも、コレって"ポートマフィア"が関わっているって可能性とかは無いでしょうか……？」

そう、恐る恐る太宰に聞く敦。その顔は、少し曇っている。

太「良いや、その可能性はゼロだ。ポートマフィアにとって、政府役人を手に掛けるなんて利口な選択肢じゃあない。
寧ろ、得をするよりも損をする確率の方が確実に高い。政府関係者に、手を出してタダで済むとは思ってない筈さ」