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序章 ページ2

とある、一つの村の社。そこに、一人の少女が居た。その目は、何処か虚ろげでぼうっと立ち尽くしている。




少女の衣服は、ボロボロで所々破れている。破れた服から覗く肌は、打撲痕や切り傷などが見え隠れしていた。




少女は、社の近くの村の娘だった。けれど、村の人間からは良い目では見られては居なかった。其れも、全て少女の容姿にあった。




艶やかな濡鴉色の黒髪、雪のような真白の肌、瞳は赤い鮮血のような色だった。……傍から見れば、美しい少女だが。




村では、違った。村人は、少女の容姿を恐れ罵倒し暴力を振るっていたのだ。そんな少女は、村にいる事すら認められてはいない。




そんな少女が、何時も来るのは村から少し外れた少し大きな社だった。そこには、村を守る守り神が祀られていた。




何時も少女は、社に来ては参拝と掃除を行っており社は常に綺麗だった。その為、少女は社には欠かさず来ていた。




けれど、少女は思っていた。もしかしたら、今日が社に来るのが"最期"だと……。今日、村を出る時村人の話を聞いたのがキッカケだった。




話の内容は、どうやら少女が【生贄】として神々に捧げられると言う話。其れを聞いた時、少女は賢いこの為すぐに理解した。




嗚呼、自分はこの時の為に生かされていたのかと。……殺してくれなかったのは、生贄が居なくなったら困るためだと。




なれば、今日が最期の日ならば自分の好きな場所で一日を過ごそうと思い来たのである。




少女は、生きてきた中で一つとして"幸せ"と呼べるモノを知らなかった。否、感情を全て抑えられており分からなかったの方が会っている。




両親は、自身を産んだと同時に村に捨て去り夜逃げをしたらしい。村からは、"バケモノ"と呼ばれ暴力を受けた。





少女は、一つとして生きていると実感した日は一日とて有りはしなかった。いつも、死んでいるような気分で生きる。




まさに、生きる屍と成り果てていた。それでも、死ぬことは許されなかった。





少女は、この生き地獄の日々に息をするのも嫌になっていた。そんな中、遂に"生贄"として神に捧げられる時が来た。





その時、漸く少女は心から"幸せ"に似た安堵感を覚えた。やっと、この苦痛の日々から開放される。"死"と言う、安らぎが訪れるのだと。

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- 神様系好きでまた書いて欲しいです!少ししか書いてないから内容は分かりませんがとても面白いと思いました!これからも更新よろしくお願いします!楽しみにしています! (2019年9月23日 13時) (レス) id: 5c607c067f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千本桜 | 作成日時:2019年7月21日 20時

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