☆ ページ38
ゾムの胸を押して、1度離れて目を合わせる。まだよく理解出来ていないらしくぼーっとしている。
相当、まいってるわね…
「…ぁ…リン……俺、ごめん、本当にごめん…」
「ねぇゾム、私の話聞いてくれるかしら?」
焦ったように、自分の事を責め始めるゾムの手を握り、話し出す。
「…私ね、あなたに助けられたのよ」
「何言うとんねん、俺がもっと早く家に行ってれば何か変わってたかもしれへん…」
「…それは、否定はしないわ。でもね…貴方が私の命を救ってくれたのも紛れもない事実なのよ」
「…っちょ、何して……」
自身の胸元をさらけ出し、あの痣をゾムに見せる。ゾム手を引き、痣を触らせる。
「…ここに、何があるか分かる?」
「…心臓」
「あの日ね、胸元にゾムから貰ったこのキーホルダーを入れてたのよ。敵と戦ってる時、相手に心臓を刺されそうに…いや、刺されたのよ。
その時に、このキーホルダーが剣を弾いて私を守ってくれたの…」
粉々になったキーホルダーの破片を握っているゾムの手を開かせて見る。
「…ねぇ、私の心臓動いてるじゃない?」
「…動いてる」
「そうよ、動いてるの。生きてるのよ…あなたのおかげでね」
ゾムがガバッと抱き着いてくる。肩に顔を埋め、ボソボソと話し始める。
「…俺な、あの日、皆とインデース守っとった…敵倒して……急に俺のキーホルダーも割れてん。やな予感してな、リンの家に走ったんや。めっちゃ、走ってん。
家が見えて、俺の目の前で、崩れて…リンと男が倒れてるの見つけて……
あー…助けられんかったって、思った。もっと速く走れればとか、俺だけでもリンのところに行けばとか……
何より気づけんかったのが、悔しいねん。何が親友や…ほんま、大事な時におらんって……
みんな、俺のせいやないって言ってくれるけど…俺はそう思えなかった」
あまりにも苦しそうに話すから、何度も止めたくなった。でもここで止めてしまったら意味がないのよね。
それに、ゾムなら大丈夫よ、きっと。だって…
「…ごめんなぁ……ありがとうリン、聞いてくれて。…生きててくれて。
…っし、俺がいつまでもクヨクヨしててどうすんねんって話やな。ん、俺はリンを守った!だから生きてる!これでええねんな」
はにかんで笑うゾムにもう迷いは見えない。
「…ええのよ」
その日、最初で最後…授業をサボった。
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時