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16話 秘密のお茶会 ページ19

結局午前中は取り巻きに囲まれて終わった。
慣れたものね…私も。

お昼ご飯を少し食べ、そのまま教室に行くのに気が向かなかったので、久しぶりに図書館に寄ることにした。


様々な本が揃っているこの場所は、勉強熱心な人にはとても素敵な所。


ギシッと軋むドアを開いてしん…とした空間に入る。とても心地よい。

私はふと目に映った本を手に取る。

タイトルは『ハムレット』。シェイクスピアの名作のひとつだった。シェイクスピアと言えば…悲劇。


なんだか胸がもやっとしたが、私がページをめくろうとしたその時、




「リン・パッヘルベルさんですか?」

突然呼ばれ、振り返ると生徒会員も務めながら図書委員長も務める真面目で有名なエーミール様がいらした。


「…はい」


トゲトゲした雰囲気はなく、物腰の柔らかい穏やかな人。比べるのはあまり良くないけど、ゾムとは正反対の人。

「少し、お話したいことがあるのです。お時間いただけないでしょうか?」


色素の薄い瞳から、目を離せなかった。


「…あまり見ない目ですね」

「……気持ち悪いでしょう?白目のように見えるし」

「…そんな事ありませんわ。…素敵な瞳じゃないですか」



エーミールさんは照れたように、嬉しそうにはにかむ。生徒会ってこんなにいい人がいたのね……

そう思いながらエーミールさんの後を着いていく。扉の中に入るように言われた。図書館にこんなところがあったなんて…なんて思いながら中に入ると机の周りに椅子があり、

その一つにあのオスマン様が座っていた。


「…あの、これは一体……」

「…オスマンさんが貴方に話したいことがあるそうです。私も実際に一度お話したかったので」



座って若干俯いているオスマン様にいつもの様な威厳は見えなかった。昨日の事が堪えたのかしら…

私も椅子に座り、どこを見ればいいのかわからなくなってしまった。


そんな私たちの雰囲気を察して、紅茶を入れてきますね、とエーミール様が部屋を出ていってしまった。

今朝とは違う、心地の悪い沈黙。それに耐えられなくなったのは相手方の方だった。



「…俺な、ホンマは分かっててん。俺たちが、ノエルに執着しすぎやって。

それに、ノエルも俺たちに執着してくれてると、思っとった。けど…違ったんやなぁ」




顔を上げたオスマン様の目は潤んでいた。

☆→←☆



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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年4月2日 10時

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