15話 親、心、真 ページ16
リンside
「…お嬢、Nakamu様と何が…」
「…婚約を提案されたの……私に、ワイテルズ国に来ないかって…」
「…とてもいいことだと思いますが……」
そうね、分かってはいるのよ。この婚約が素晴らしいものだって。
「…でもね、私が婚約を受け入れたら……
私は直ぐにワイテルズ国に行かなければならなくなる…学園を卒業出来ず、政治に参加しなければならない」
せっかくできた友人とも、別れの言葉を言って終わりになってしまう。
「…お嬢は好きな人とかいないので?」
「…ええ、恋愛的婚約ができる世の中じゃないし…するだけ辛くなると思うわ」
…ぐるぐると頭の中で何回も考える。私が婚約を受けいれたら…
「…どうしましょ……」
「お嬢はどうしたいんですか?」
「…時間が欲しいわ……」
私、相当キてるわね。暫くして馬車が着いた。帰りの馬車の中でレイヴィスが色々話をしてくれたけど、どれも頭に入ってこなかった。
「…ただいま戻りました…お父様、お母様、お時間よろしいでしょうか」
元気がない私に気づいた両親は部屋に3人にしてくれた。
「何かあったの?」
「…私、ワイテルズ国の次期国王、Nakamu様に婚約を提案されたのですが……
この婚約を、私は受け入れるべきなのでしょうか」
まさか婚約の話だとは思ってはいなかったらしくお父様のポーカーフェイスも崩れている。
「…ごめんなさい、行くべきなのは分かっているのですが……」
この国にまだ居たいと思う私がいるのです。
お母様は落ち着かせるようにふぅ、とため息を着く。1度深く息を吸って私に言った。
「…リンはどうしたいの?」
「私は…貴族として行く事がいいかと……」
「あなたの気持ちの話よ」
「…私の、気持ち……」
どうしてもいたい理由がある訳じゃない、いなければいけない理由もない。
この国に未練がある訳でもない。
「…私、まだこの国に居たいです……でも、Nakamu様すごく素敵な人でした…ワイテルズ国もとても素敵な国なんだろうと思います…」
ならどうして、私は迷っているんだろう。
全てにおいて矛盾している。
「…時間はまだあるんでしょう?……自分が正しいと思う方を選べばいいと思うわ」
「…ああ、リン……パッヘルベル家を継ぐのは他でもないリンだ。
……お前にとって難題だろう、当主としての第1歩だと思って、自分で選べ」
「…はい」
絞り出すような声しか出なかった。
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時