14.5話 番犬の気持ち ページ15
ゾムside
門を出て、フェンスのところに座り込んだリンの姿は何だかすごく小さなものに見えた。
隣に座るのは門番で、リンの家の警備隊の人。
俺は未だにさっき起きた事の理解が追いついていなかった。
リンは言われてた。ワイテルズ国の奴らに、来てくれと、必要だと…
リンは行かないだろと思ってた。リンの表情を見るまではな…
「…ム……ゾム!」
「…っ……ロボ、ロ」
ロボロが俺の顔を覗き込んでいた。なんちゅう顔してんねん、と言われて思わず自身の顔を触る。
俺、どんな顔しとったんやろ…
「…リンは、あっちに行ってまうんやろか…」
「…それは俺には分からん」
…当たり前やん。ロボロがリンを動かしてる訳やない。…なんでこんな不安になってんねん。
「…ロボロ、俺……初めてやってん」
ロボロがえ?と声を漏らす。俺、何言って…
「…あんなに尊敬できて、ずっと一緒に居たいって思う友達……居なくなってまうのが、怖いんや…。でも、リンが決めた事なら応援もしたい……リンが、幸せになれるんやったら…
いいと思ってんけど……」
これが、きっと俺の本心。
俺、こんなんだったっけ……こんな弱っちい奴やったっけ…
ロボロも困った顔でどうしようかと思ってんやろうな…ポケットに手を入れた。すると手に何か冷たいものが当たった。
何かと思って取り出してみれば俺がリンにあげたやつとお揃いのキーホルダー。
「…やせ、そうすればええだけやん」
キーホルダーを見ていると、なんだか落ち着いてきた。
俺は思わず駆けだした。
「…っゾムどこ行くねん!」
そういうロボロの声を無視して俺はあの人らの所へ走った。
「…Nakamu……様」
俺に呼ばれ振り返る。その目は驚きと言って良いだろう。
そんなことにも構わず、俺はNakamu様の目の前に行く。
「俺は、正直リンに行ってほしくないっす。
でも、もしリンが行くって決めたなら止めません…でも、もしリンがワイテルズ国で辛い思いや苦しい思い…
アンタが泣かせたりしたら、俺はお前らを許さない。…絶対にな」
「…ああ、泣かせたりしない。絶対に…
約束する」
…こいつは、ええやつなんやな。
もしも、リンが行くと決めたなら、俺は応援する。
助けを求めたら、助けに行くからな…
でも、寂しいな。
1852人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時