☆ ページ23
「はいはーい、作戦会議の前に夜ご飯食べますよ〜。腹が減っては戦ができぬってね」
そんな事を言って、メイドと共に料理を持ってきた料理長のハインツ。
「食べてから、みんなで考えましょう?」
いつも通りの緩い態度に、肩の力が抜けていく。お母様もクスクスと笑っていた。
「今晩のメニューは、旦那様の好物のカルボナーラ。
明日の朝ご飯は奥様の好物のフレンチトーストです」
ハインツのお陰で笑顔を取り戻す使用人たち。私も、口角が上がっていた。
「みんなで食べましょう」
最後になるかもしれない、晩餐よ。
〜am.7:00〜
「…お父様、お母様…行ってきます。今日は早く帰ってきます」
「…ああ」
「行ってらっしゃい、リン」
父と母に見送られ、学校への道を歩く。私は、これからどうなってしまうんだろう。
そんな不安を抱きながら、歩く。
…これは、助けを求めてもいいのかしら。いえ、あまり大事になってしまっては良くない……
そう思って、学校が見えてきたと思えば校門のところに焦っているようなトントン様の姿を確認した。
私の姿を見つけて、走ってくる。
「…っリンさっ…!」
「…どうかなさったの…?」
尋常ではない様子のトントン様が私の腕を掴んで走り出す。戸惑いながらも大人しく着いていく。
着いた先は生徒会室。
中を開けると1枚の紙を見つめて顰めっ面をしているフューラー様の姿。
みんなに囲まれ、泣いているノエル。ただならない状況に、思わず冷静になる。
「…何が、あったんですか……」
「…っ…リン様ぁ……っ…ヒック…」
フューラー様に呼ばれ、紙を見せられる。
『インデース家
明日の午後6時この屋敷に暗殺者を30名送る 。
必ず、殺してやる。
キャルベッス』
そう短い文章。それだけで私は全てを悟った。
同時に、軽い絶望。手に力が入り紙がクシャと音を立てる。
深呼吸、落ち着け、落ち着いて私。
「…パッヘルベルよ、俺たちはどうすればいい…」
いつもなら、自分たちで考えろとあしらうわ。でも、今回はこの人達だけの問題じゃない。
「…っ……午後6時、生徒会全員がインデース家の人を守ったら良いわ。
少なくとも、こうなったのはあなた達のせいでもあるわ」
黙って頷くフューラー様。ほかも反論しないあたり、それぞれ思うところがあるんでしょうね。
「…でもっ…皆の手を借りたら……っ」
泣いているノエルに近づく。
震える、私よりも小さな体を抱きしめた。
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時