81話 懐かしい ページ41
Aside
書類を終わらせ、トントン書記長が寝ているうちに書記長室を後にした。
少しでも多く休んでもらわないといけない。
「…あ、Aお疲れ様」
「ひとらん隊長、お疲れ様です」
少し軍服が土で汚れている。また畑にいたんだろう…手に持っているのはまだこの国で見たことの無い野菜ばかり。思わずじっとみてしまう。
「…気になる?」
「ぁ……はい」
ニッコリと笑ったひとらん隊長に時間があるか聞かれる。このあとの予定は特にない事を伝えれば一緒に庭に来いとの事だった。
庭に着くなりひとらん隊長は竹が沢山生えている場所の中に入っていった。
前世で見た事のある野菜が沢山あった。
「…懐かしい……きのこ類、たけのこも…」
「あ、知ってたの?…前世とか?」
「はい、前世で食べた覚えがあります」
あまり野菜は好きじゃなかったけど。この世界での野菜は何故か好き…いや、ひとらん隊長の野菜が好きというべきなのか。
「…久しぶりにきのこの味噌汁とか食べたいです」
「…!!和食の文化があったの?」
「ひとらん隊長の所もですか…偶然にしては凄いですね…」
ひとらん隊長の故郷は『日ノ本』というらしい。何か『日本』と関係がありそう。
時空のズレはあれど、位置が同じ…だったりして。
「明日の夜ご飯は俺が味噌汁作ってあげるからね」
「楽しみにしてます」
明日の、ほんの少しの楽しみ。
その後動物小屋で少しだけ時間を潰して夜ご飯を食べに食堂に向かった。
「…あ、A先輩〜!」
「チーノお疲れ様……どうしたんだ、ホコリなんか被って」
髪についていた大きめのホコリを取ってあげる。えへへ、と笑いながら図書室の掃除を手伝っていたと教えてくれた。
「…エミさんA先輩に会いたがってましたよ」
確かに、最近エーミールさんに会ってない。たまには会いに行ってもいいかもしれないな。
「A先輩も食堂ですね!一緒に行きましょ」
「…なんか、懐かしいな」
チーノに背中を押されながら思った。初めてあった日だったか。レティから私を逸らすように背中を押して部屋まで行ったんだっけ。
少し前のことなのにな。
「…実はあの時はまだA先輩の事信用して無かったんですよ」
「だろうな、信用してない奴の目だった」
少し前の昔話に花を咲かせて。
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時