80話 正、悪の夢 ページ40
あれから何時間がたっただろうか。
書記長室に微かに響く万年筆が擦れる音が何となく眠気を誘ってくる。トントン書記長を見ると必死に睡魔と戦っていた。
…早く私が終わらせて、楽にさせてあげないと。
「…トントン、俺自分の終わったから少し手伝うわ」
「あり、がとぉ……」
完全に溶けている書記長……どうして、こんなにも書記長に仕事が回ってきてしまうのか。
原因は他の幹部にありそうだけど。
「…トントン、眠いなら寝てええで。俺がやってるから」
「でも…」
「ええから、寝とけ…」
紙をほぼ無理やり取り上げ、書記長のメガネを外し目を両手で覆えば力が抜けたように机に伏せて寝息を立てていた。
そのままじゃ体を痛めると思い、何とかベットの方へ移動させる。
私の筋力でも、流石に書記長を1人で運ぶのはキツかった。
さて、さっさと終わらせないと。
椅子に座り、再び書類を見始めた。
トントンside
「トントン!まぁた書類やってるの?手伝う?」
「少し休まないの?いつか倒れちゃうっ…」
「ねぇ〜…たまには城下町に行ったりしない?デートだよ!」
「トントンやってくれるの…?やっさし!」
「私は難しいこと出来ないしぃ…トントン、やってくれないかな?」
「今日は大先生と遊んでくるの!だからこれもやって?皆のもやってるし、いいよねぇ?お願いっ?」
「トントン、これもお願いね」
「よろしくね〜」
気づきたくなかった。
でも、気づいた時には既に遅かった。
天使の笑顔の裏は、ただの悪魔だなんて…こんな仕打ち、酷すぎる。
変に期待して、夢見た俺も馬鹿や。
「…っ!?」
……夢。いつの間に寝てもうたんや、俺……
やばい、書類終わってへん。
その焦りも、直ぐに疑問へ変わる。
机の上には既に終わってある書類の束が置かれていた。
せや、俺たしかゾムに手伝い頼んだんやったわ……途中で俺が寝てる間にゾムが終わらせてくれたんかな。…なんやアイツ、めっちゃええ奴やん。
時間もまだ夜中、まだ睡眠の時間が取れそう。こういう時に甘えとかんと、あとに倒れた時、余計心配かけてまうかな。
…にしても、アイツこんなに字綺麗やったっけ…まぁ綺麗好きだし、練習でもしたんかな。
結局、正常に働かない頭の中。
もう少し寝てしまおう。
「トントン」
「…私はトントンも好きだよ?」
でも……
もう、こんな夢見た無いわ。
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時