検索窓
今日:29 hit、昨日:31 hit、合計:707,199 hit

75話 任命式 ページ35

煌びやかな装飾が施された教会に、ぞろぞろと人が集まって来た。貴族から平民まで様々な人々。

その人たちを天井のダクトから見張るなんて、正直驚きだ。城でやっている事とあまり変わりない。



「…先輩、もう少しだけなので我慢してください」

「…おま……俺が飽きたって言う前に読むなや……もう少しって、さっきからそればっかりやん」


先輩の飽きっぽいところに似なくてよかった。飽きっぽい人二人が警備なんて、国の信用を失いかねない。



「なんでレティなんかの為に警備せなあかんねん」

「…考え方を変えましょ?…私の晴れ舞台だと思ってみては?」


…なんて単純な先輩なんだろうか。親バカならぬ弟子バカだ…

せやな!とわしゃわしゃ頭を撫でられる。…まぁ、いいや。正直緊張してるから今は先輩のいつも通りを頼るしか無い。


「…あ、ぴくとさんおるやん」

「ぴくとさん…とは?」

「知り合い、幹部はだいぶ世話んなってんちゃう?優秀な情報屋やし」


そんな方がいただなんて…あとで挨拶に行かないと。

「…時間、そろそろやな」

「そうですね。私もそろそろグルッペン様の所に行かないと………ふぅ……」

「…Aなら大丈夫や。誰の後輩やと思ってんねん」


先輩の言葉をしっかりと頭に入れ、肩の力を抜く。…これが案外難しかったりする。


「…行ってきます、先輩」

「おん、ちゃんと見てるからな」



…心強さを感じながらダクトから出て、私はグルッペン様の所へと足を進めた。



「…グルッペン様」

「来たか……ふっ、さすがはAだな。いつも通りのパーカー姿で頼もしい」

「表の主役は、私では無いですから」



そうだな、とグルッペン様は上機嫌に笑う。グルッペン様と少し話していると徐々に幹部が集まってきた。

教会の前列に座り、どこかそわそとしている。

不安なんだろう。ここ数日のレティを見て、信用していいのかどうか。


…その不安を、私が必ず拭わなければならない。体にのしかかってくるプレッシャーを感じつつ、グルッペン様との会話を続ける。


「…ふっ……お前もそんな顔するんやな」

「…どんな顔ですか……」

「今すぐにでもアイツらを助けてやりたいって顔だ」


…やはり、この人は凄い。


「…もう始まる。A、用意はいいか?」

「はい」



















『聖女レティ、入場』

76話 逆転の時→←74話 らしさ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (778 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2097人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , zm , 軍パロ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年6月6日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。