74話 らしさ ページ34
Aside
当日の朝、不思議とスッキリとした朝だった。目覚めは良く、なんの不安も緊張もない。
背伸びをして久々に庭へ向かう。歩く度にほんの少しだけ傷に違和感を覚えるがさほど気にはならない。
ふと視界に映った紫の花。確か…
「紫のフリージア…」
私に、よく似た花だ。…結局、あの時ひとらん隊長が仰っていたことは未だに分かってない。
でも、目が離せなくなる。
……どこか魅力ある花。目に見えない何かに吸い寄せられるようにその花に手を伸ばす…
花びらに触れ、直ぐに散ってしまいそうでなんだかよく分からない喪失感。
「…お腹すいたな」
…今日も、ひとらん隊長の野菜を食べて一日を始めよう。
そう、いつも通りの私でいればそれでいい。
「…なんや、いつも通りで安心したわ」
「…先輩、おはようございます」
追いかけ続けた背中は、目の前にあるのに。いつになったら届くんだろう…いや、いっそ追いつけないまま、追い続けたい。
「…腹減ったなぁ……飯行くか!」
「…先輩、いつもそれしか言いませんよね」
ニコニコと腕を肩に回して楽しそうにしている先輩を見て、元気をもらった。
「…私も、久しぶりにお腹空いた気がします」
「おっ!!たらふく食わしたるからな!」
「それは遠慮させていただきます…」
大丈夫、
血のにじむ努力を
無駄になんかさせやしない。
私に出来ることを。
私らしく。
2097人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時