61話 狡い懺悔に真実を ページ20
シャオロンside
こんな小さな手で、守ってくれたんや。
俺が、不甲斐ないばっかりに…ちゃんと周りのことが見れていなかったばっかりに…
結果、Aを追い詰めてしまった……。
「…っ、A……」
名前を呼んでも、おとぎ話のように手を握ってくれる訳ではない。
なんで、ちゃんと聞いてやらんかったんやろ…聖女だからってレティの言葉だけを鵜呑みにして、仲間の話も聞かずに、なんにも見えないまま突っ走って…
この国の幹部として、失格やな…
Aは、俺の事どんなふうに思ってたんかな。
…無能……かな。
「…ごめん、ごめんなぁ……ちゃんと、謝らせてくれや……っ!」
俺はやっぱりずるい奴やな。Aが起きてない時にこんなに謝っても意味ないのに。これで許される訳ないのに。
「…シャオロン、聞いて?」
ペ神の声に、ゆっくりと耳を傾ける。
「…Aは、どうして身を呈してまでこの国を守ってくれたんだと思う?」
そんなん、
「…この国を、大事に思ってたんとちゃうか…?」
「その通り、Aはこの国を誰よりも愛していたよ。…俺たち皆で作り上げたこの国を」
それが、なんの話しと繋がんねん。
「…Aはね、確かにこの国を1番に考えてくれてたよ。
どんな時も、自分が辛い思いをしても胸の内に秘めたまま我慢を続けてた…それもこれも、全部俺達のことを考えてくれての行動やったんよ。
この国を創り上げた、俺たちのことも愛してくれてたんだよこの子は」
ボロボロと、心の中で何かが崩れて言ったような気がした。
俺達の事を大切に思ってくれていた彼女に、俺たちはなにかしてあげられたんか。……なんもしてあげられてない。
貰ってばっかりやねん。
「…俺は、今まで何を見てたんやろ」
黙って聞いていたひとらんが口を開く。
「…シャオちゃん、俺さ思うんだよ……あんまり言うべき事じゃないけどさ。
…動物たちはね、純粋で素直な生き物なんだよ。悪い気を感じ取れば動物たちは嫌がる。
レティを連れて行った時に動物たちは拒否をした。この意味、分かる?」
あぁ、認めとぉない。
「人は、見かけと肩書きじゃないって事だね」
ペ神の言葉を聞いて、認めたくない事を認めなくてはいけない事が確実なものとなる。
…なんやろ、この喪失感。
やっぱり、嫌やな……
寂しい…
なんてな。
2097人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時