60話 進めない俺達 ページ19
ひとらんらんside
Aが倒れて1週間。みんなも徐々にこの事を受け入れ始めて仕事も滞らないようになった。
もしかしたら、止まってるのは俺たちだけなのかもしれない。
「ひとらん、俺がいけなかったんかな…もうよくわかんねぇよ…」
「シャオちゃん…」
弱音を吐いているシャオちゃんを連れて動物たちの所へ行く。
外道丸を撫でてやれば満足そうに鳴く。
「…Aが死んでもうたらどうしよ……ゾムもグルッペンも大丈夫って言ってるけど不安は不安のままやし…」
「Aを信じる事しか、俺達には出来ないよ」
「…ちゃんと話聞けばよかった。もしも、もしもやけど俺達がチーノの事疑ってて…話を聞いてくれないから自暴自棄とかになったとかだったら……」
嫌な時には、嫌な事しか思えなくなる。シャオちゃんはあれからずっと自分を責めるようになってしまった。
外道丸の顔を撫でればある方向を向く。
「…お前も、心配だよな」
外道丸が見ている方向は、医務室…Aがいる所だ。…やっぱり動物は素直……
「…シャオちゃん、俺たちに今できることってなんだろ……」
「…分からへん、今更…俺に出来ることなんてあるんかな…」
「なんでないと思ったん?」
ばっと声がした入り口を見ればドアに寄りかかったコネちゃんがいた。
「シッマ…」
「いつまでめそめそ惨めったらしく嘆いてんねん平均化ポメラニアンがよぉ」
いつものシャオちゃんならすぐに言い返すのに、黙ったまま。
コネちゃんもそんなシャオちゃんの様子に表情を暗くさせるが、すぐに俺たちの腕を掴んで城の方へ引っ張っていく。
「ちょ、シッマ…!?」
「しんぺい神になぁ、人手が足りなくて困ってるから手ぇ空いてるやつ連れて来いって言われてん」
医務室まで連れていかれ、コネちゃんに中に入らされる。
…はは、鬼畜すぎんだろ……コネちゃんもしんぺい神も。俺たちに、Aが寝てる病室に連れて来るとか…
「あっ、きたきた」
「しんぺい神…」
「人手が足りなくてね〜…2人とも暇でしょ?お手伝い頼むね」
何をするのか聞く前に、しんぺい神はAが寝てるベットのカーテンを開けた。
そこには静かに息をして目を閉じてるAの姿。…決して、健康とは言い難い……
「…っ、A……」
シャオちゃんがAに駆け寄り、白くて小さな手を優しく握って名前を呟いた。
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時