59話 晴れと迷い ページ18
「…しぶとい、ですか……」
「ああ、ゾムに似てな」
どうしてゾムさんの名前が…と疑問に思ったが直ぐにその疑問も晴れる。
「グルッペン、エミさん、犯人わかっ……あれ、ショッピ君もおったん?」
声が聞こえて上を見て見たらダクトから覗く人影。
そこにはケロっとしているゾムさんがいた。
「お、もう分かったのか?」
「こんな簡単な仕事も出来へん奴が暗殺部隊におると思うか?」
1番気を落としていると思っとった人は、目の前でいつも通り仕事をこなしていた。
「…なん、で……?」
その言葉の真意に気づいたゾムさんはハッキリと言う。
「あのなぁ、みんなAが死ぬんやないかとか思っとると思うけど、アイツ簡単に死なへんで?
そりゃ倒れた時は焦ったけど、今はもう寝てるだけやし」
この人は、意識を失って戻るかどうか分からない人の事を“寝てるだけ”で済ませてる。
そんな簡単なもんなんか、これ…
「Aはそのうち目ぇ覚ます、それだけ信じとけばええねん」
ふっと笑うゾムさんの表情は優しいもので本当にAさんの事が大事なんだと分かる。
杞憂やってんな、俺は。
Aさんの事を1番知っている人がこう言ってるんやし、俺たちもこのままじゃアカンよな。
「…仕事、せぇへんと」
俺の呟きにクスッと笑うエミさん。
紅茶の味はさっきよりも鮮明だった。
オスマンside
「それでね〜…って、マンちゃんどうしたの?」
目の前の彼女は、どうしてそんなにも普通でいられるのか。俺にはさっぱり理解出来へん。
クリっとした両目にローズの瞳。魅力的に感じていたもの全てが今は濁って見えて仕方がない。
「…んん、なんでもあらへんよ」
でも、レティは聖女や…
いや、聖女ってなんなんやろ。
普通、仲間が自分を庇って倒れてるにも関わらずこんなに軽い気持ちでいられるわけないやん…
「…レティ、悪いんやけど今日はもう部屋戻ってくれへん?」
「…ぇ…?なん、で…まだ全然お話してないのにっ…」
「とてもじゃないけど、話せる状態じゃないねん…」
ぐっと唇を噛んだレティが出ていった。
俺だけが残された部屋の中で、頭を抱えたくなる。
「…俺は、いつ間違えてん……」
何が正解なんや。
☆♡♡☆
皆さん、神様がフリージアちゃんを描いてくれました…っ!
アルちゃんありがとう!!
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時