※ ページ16
男は私を見詰めて口を開いた。
「良いじゃないですか。減るもんじゃないでしょう」
「減るわ！てか莫迦なの！？男女一つ屋根の下！？それに酒！？普通に事故でアレソレあっても可笑しく無いよ！？」
「当たり前でしょう」
「じゃあ何で来たのかな〜〜？？？？」
疑問が絶えない。叫びに近い私の声と、世間話をするかの様なフョードルの声。最早、一つのコントになりかけている私達の会話。
フョードルは青白い笑顔をより深め、私の問いに向けて口を開いた。
「其れを期待してきました」
下心100％だった。寧ろ、此処まで来ると潔く聞こえてしまうのは何故だろう。呆れで半笑いが出てしまった私を見て、フョードルは目を開けて微かに笑い声を上げた。
「ふふ、そんな表情も可愛らしいですね」
「あのね、いや……莫迦なの？それ聞いて部屋に入れる女がこの世界の何処に居んだよ」
「おや、いけませんか？」
「ダメだねぇー、考えようねぇー」
このやり取りが、呆れを通り越して面白く感じて来てしまっていた。此れはいけない。何とかして追い払わねば。
顔を上げてフョードルの顔を見てやろうとした時、手渡される紙袋。それを見て、私は目を丸くする。
「そ、其れは！真逆……！？」
「知人からの貰い物です。ついでに色々持ってきました」
彼が持ってきたものを受け取り、一つずつ目で確認していく。
Ａ５ランクの黒毛和牛から作られたジャーキー。通販でも即売り切れと名高い地方名産チーズ三種盛り。脂の乗った旬の鮭を燻製にした鮭とば……と豪勢なツマミ。
フョードルを見上げた。先程と変わらない笑顔を浮かべている。
「アンタ……マジか……いや、いやいや？この程度で釣られる私じゃ……」
「ついでに此方も」
掲げられるビニールが音を立てる。中から見えたラベルにまたもや衝撃。
「そ、それは……薩摩の芋焼酎！？しかも業者でさえも十本手に入れられない幻の銘柄ですとぉ！？」
「どうですか？此れでもぼくを入れる気は有りませんか？」
透けたラベルを見れば、嫌でもわかってしまう自分が憎い！好物の芋焼酎を提げられ、更には底の方に見えるレモン。歯を食いしばり、欲と理性を天秤に掛けた。
あっさりと結果は出てしまったのだが。
「好きにしろぉ！莫迦ぁ！」
「では、お言葉に甘えて」
男の思惑に軽く引っかかる私は、正に鴨がネギを背負ってくる光景に等しいだろう。扉を解放し、フョードルを迎え入れる。
「成程……貴方の匂いがします」
「最低。ド変態」
※→←チューハイ『Ｆ･ドストエフスキー』※櫻子さんリクエスト
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いちご(プロフ) - ミラから来たぞおおおぉ！ に、しても評価凄いですね！Σ(ﾟﾛﾟ;) (2020年6月21日 14時) (
レス) id: 3cbabf2902 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - 道化さん» 全然OKです。後見させてもらいました、兎に角好き(語彙力Maxです。 (2019年8月4日 17時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - 書かせて頂きました！お仕事疲れとの事なので、ちょっと絡めたお話を。ゴーゴリ「頑張った子には、ご褒美がいるよね！私は分かっているのさ！」 (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
道化(プロフ) - モフ子さん» 了解しました！リクエスト内容は、シリーズ最新作の「恋は下心」の方に投稿させて頂きますが、大丈夫でしょうか？ (2019年8月2日 18時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - リクエストしても宜しいでしょうか？天人五衰のゴーゴリ君っていいですか？シチュエーションは何でも構わないのでお願いします！仕事帰りに癒されたい！どうか私の我儘を聞いて下され (2019年8月2日 11時) (レス) id: 7dc88695a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：jazz | 作成日時：2019年4月26日 19時
