【d！】通常運行の異常行動。【呪鬼2】 (ページ9)

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Angel ページ9

『…はぁ…』

6時間目の授業は音楽だった。
音楽なんて、楽しくなんかない。

「七海さんも一緒に歌いましょ！ね！」

『…』

先生が居ない授業は楽しくない。
歌う気は無く音楽室の隅っこで楽譜を眺めている。
歌のテストでクラスメイトはガッカリしてたけど、私は歌わないから関係無い。
話しかけてくる音楽の教師を無視して時計を眺める。
どうやら全員終わったようで、後は私が歌うだけらしい。
早く授業終わらないかなとため息をひとつ着いた時、扉が開いた音がした。

「こんにちは〜。見に来ました〜」

「あ、猿山先生…実は今全員終わりまして」

「えﾞ、タイミング最悪じゃん…」

「後は七海さんだけなんですけど…」

見慣れた青色のジャージ、私とお揃いの柔軟剤。
ふわりと香る花の香りが心地良かった。

「歌わないのか？」

『…歌う必要あります？』

「俺は七海の歌聞きたいけどな」

『…』

無言で立ち上がって、音楽の教師の前まで歩く。

『歌うんですよね？さっさと済ませたいんで伴奏お願いします』

「本当！あ、じゃあペアを…」

「…先生、俺やりますよ」

「じゃあお願いしてもいいかし」

『1人で大丈夫です。心遣いありがとうございます』

どうせ私より声出して活躍させない気だろうし、そんなのに乗るより普通に歌ういたい。
そもそも2人ペアで歌わないといけないのも意味不明。

「…自信ないんやろ」

『は？』

「俺が入ると自分の声がかき消されるから嫌なんやろ？」

『…そこまで言うなら2人でやる？君の声なんて聞こえないだろうけど』

「言ったな？先生、2人でやります」

「わかったわ！それじゃあいきますよ」

不服だけど仕方ない。
完膚なきまでに叩きのめそうと、伴奏に合わせて口を開いた。