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駄菓子屋、パチンコ、カツアゲにプリクラ……。
あちこちを回って、遊んだ。友達と遊びに行くように金と時間を贅沢に使った。
遊び回った私たちは、団子屋で一息つくことにした。
「はぁ、とっても楽しかった。女王さんもAさんも、若いのに色々知ってるんですね」
「『まーね』」
「みんなとっても楽しそう。自由で、何にも縛られないで……きっと明日もわからないからこそ、今日を思い切り楽しめるんですね」
『そよ様……城の生活は、やっぱり退屈ですか』
「……私、何をするかも予め大人に決められていて、それの繰り返しの毎日。私の自由なんてこれっぽっちもない。城の中から見る外の世界に、思いを馳せることしか出来なかった」
「そよちゃん……」
「そんな思いがきっと、私を外へ踏み出したんだと思います。1日だけだったけど、私、みなさんと友達になれて本当によかった」
「何アルか、そよちゃん……まるで いなくなっちゃうみたいな……」
「その通りだよチャイナ娘。そよ様とテメーは生きる世界が違うんだ」
「お前!」
『副長……!』
「お手柄じゃねぇかA。まさかもうそよ様を見つけていたとはな」
『…………』
「さぁ、帰りましょうそよ様」
「……はい」
そよ様は小さく返事をすると、ただゆっくりと立ち上がった。
言いたいことは山ほどあったが、元々の私の仕事は、そよ様の捜索なのだ。それが終わるというのなら、私はもう何も言えなかった。
ガシッ
「待てヨ」
「……おい、何してんだテメー」
神楽ちゃんはお構い無しにそよ様の腕を掴むと、一目散にかぶき町の街を駆け抜けた。
「おい、待て!!」
『神楽ちゃん!!』
神楽ちゃんが走り出したとほぼ同時に、私も無我夢中で神楽ちゃんの後を追う。
土方さんが後ろでなにか言っていたが、私の耳には届かなかった。
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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時