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『なるほど、ここでカエルの丸焼き作って攘夷浪士をおびき寄せればいいってわけですね』
「そういうことでぃ。俺たちは何もせずともカエルの丸焼きが食え、更にはのこのこやってきた攘夷浪士も袋叩き。一石二鳥とはこのことだ」
「何が一石二鳥だァァァ!!おい!貴様ら!こんなことしてタダで済むと思ってもぺっ!」
縛られてると言うのに相変わらずのカエルの口に沖田隊長が薪をバカスカ突っ込んでいく。うーん、さすがドS隊長。
「……何してんだお前ら!?」
『あ、副長』
「大丈夫大丈夫、死んでませんぜ。これで敵おびきよせてパパっと一掃。攻めの護りでさぁ」
『カエルの丸焼きって足が1番美味しいんですよね』
「もべら!むがふがぁぁ!!」
いまいち状況が飲み込めない土方さんに沖田隊長が火に薪をくべながらぽつりと言う。
「俺達もアンタと同じでさぁ。早い話ここにいるのは近藤さんの好きだからってもんでぃ。な、A」
『ですね。人が良すぎて今日みたいな損もよくしてますけど』
「そういう日にゃ俺達や土方さんみてーな性悪がこうやって暴れ回る。それで真選組は丁度いいんでさぁ」
「……フン。あー、今夜はやけに冷え込むな。薪もっと焚け。総悟、A」
『「はいよ!!」』
「むごぉぉぉぉぉ!!」
パァン!
銃声。聞こえた方を振り向くと門には狙っていた攘夷浪士がわんさかこちらに向かっていた。
作戦は成功。というわけだ。
「作戦通り、ですぜ」
『ちゃっちゃとやって手柄あげちゃいましょう』
「行くぞ」
沖田隊長と土方さん、私が刀を抜くと、後ろからあの人の声がした。
「トシたちに遅れを取るな!バカガエルを護れェェェェ!!」
全く、こんな状況でもまだ護れとは。
やっぱり近藤さんはお人好しだなぁ。
そこが魅力なんだけど。
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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時