2-1【バカガエル護衛アレンジ】 ページ5
『隊長、起きてくださーい。確かに今日はお昼寝日和ですけども』
……ダメだ。起きる気配がない。
いや多分起きてるけど無視してるなこの人。
『隊長ー！いつまでも寝てると副長が来ますよ。副長にボコボコにされてもいいんですかー？』
「心配すんな。今ボコボコにしてやる」
目の前に現れた土方さんは、迷うことなく刀を隊長につきつけ、おい起きろ。とだけ言った。
「なんだよ母ちゃん、今日は日曜だぜぃ。ったく、おっちょこちょいなんだから〜」
「今日は火曜だ！！おいテメー、仕事なめんのも大概にしろよコラ」
「俺がいつ仕事なめたってんです？俺がなめてんのは土方さんだけでさぁ！」
「よーし勝負だ！！剣を抜けぇぇぇ！！」
あ、ダメだこりゃ。
止めようと二人の間に割って入ろうとしたその時。
ゴッ！
近藤さんの鋭い拳骨が頭に飛んできた。
……いや、なんで私も？
「仕事中に何遊んでんだコラァァァァ！！」
ゴッ！
「お前がいちばんうるさいわァァァァ！！」
そう言って近藤さんの頭に拳骨を繰り出したのはキンヤとかいうガマガエルの天人。
麻薬密売に手を貸した疑惑のせいで攘夷浪士から命を狙われ、おまけに幕府の官僚だかなんだかで、真選組が(超超嫌々ながら)護衛をすることになった……。
にも関わらずアイツ偉そうにふんぞり返りやがって。
『カエルの丸焼きにしてやろうか……』
「いや、カエル鍋の方がいいぜぃ」
『隊長食べたことあるんですか？』
「おう、特にホルモンのところがな……」
ドォォン！！
『「！！」』
銃声だ。と同時に目に飛び込んできたのはガマガエルを庇って撃たれた、
「近藤さん！！」
『局長！！』
脇目も降らず近藤さんのもとへ駆け寄る。
様々な人間の声が交差する中、その声はやけにはっきりと聞こえた。
「フン。猿でも盾代わりにはなったようだなぁ」
その瞬間、考える暇もなく、腕が腰に携えた刀を抜こうとした。
が、その腕は土方さんに止められた。
「やめとけオメェら。瞳孔開いてんぞ」
見ると沖田隊長も刀を抜こうとして止められていた。
お互いに、あの言葉の瞬間何かが切れたのだろう。
土方さんに止められなければ今頃あのカエルを真っ二つにしていた。
近藤さんが命を張らなければ死んでいたというのに。
それなのに、どうしてあんなに威張れるのか。
あのクソガエルの何がそんなに偉いんだ。
クソ。クソ！
『あのカエル……絶対丸焼きにしてやる……』
「それならいいものがありますぜ、A」
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作者名：おさくら | 作成日時：2020年5月7日 0時
