6-1【オリジナル】 ページ29
「こんにちはー、お天気の時間でーす。今日は全国的にとんでもない猛暑日になりまーす。熱中症には気をつけてくださいねー」
猛暑のせいかおめざめテレビの天気予報が、外ではなくスタジオになっている。
猛暑のせいか誰も家から出ず、クーラーの効いた部屋に籠っている。
猛暑のせいか私も何かする気が起きず、床に突っ伏している。
『あっっっっっづい……』
クーラーが、つけられない。
つかないのではない、つけられないのだ。
今年、地球温暖化だの、地球が危ないだのとかいうせいで、記録的な猛暑となり、私達地球人は節電を余儀なくされた。
しかし市民に節電なんぞ訴えても、この猛暑で節電をすれば、地球が危なくなる前に自分の命が危なくなる。
で、そうなった場合どこにしわ寄せが行くかと言うと。
市民を守る象徴の真選組だ。
いやふざけるな。私たちは象徴ではなくて人間なのだ。こんな我慢大会に放り込まれれば市民を守るも何もあったもんじゃない。
……考えたらまた暑くなってきた。
食堂に行けば少しは涼しいかな……。
食堂には私と同じ考えの人間が大勢いたようだ。
節電を義務付けられた真選組の中でも、食堂だけは食事が腐らないようにと、クーラーをつけることが許されている。
そんなオアシスにみんなが行かない理由はなく、食堂には人が集中していた。
『涼しい……』
ひんやりとしたテーブルに顔を突っ伏す。
天国だ、ここは間違いなく天国だ。決めた、私はここに永住しよう。
そんな誓いを固めた矢先、頭の上から嫌な言葉が聞こえた。
「おい、今日は1番隊見回りだろ。何してる」
『…………はい』
行くぞ、という土方さんの言葉に、しぶしぶと立ち上がり、私は食堂を後にする。
嗚呼、さようなら私のオアシス。
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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時