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5-4 ページ22

あー酷い目にあった。
危うく意識が飛んでしまいそうだったが、なんとか持ちこたえてその後の江戸案内も頑張った。頑張ったよ私。
ていうかあの後パスタ全部ミツバさんが食べたし、何?度胸試しかなんかだったのあれ。

「総ちゃん。今日はいろいろありがとう。Aさんもありがとうね」

『屯所には泊まっていかないんです?』

「えぇ。向こうでいろいろとやることがあるの。落ち着いたらまた来るわ。今度は女の子同士のお喋りもしたいわね」

優しい笑顔でこちらを向くミツバさん。
うーんやっぱりいい人だなぁ……。綺麗だし……。

「それじゃ姉上、僕はこれで」

「あっ、総ちゃん!……あの人は」
「ヤローとは会わせませんよ」

総悟隊長の目付きが変わる。

「今朝方も何も言わず仕事に行きやがった、薄情な野郎でぃ」

それだけ言うと、総悟隊長は黙って歩き出してしまった。

『隊長?』

「仕事か……相変わらずね、あの人は」

『あ、あの……』

「ごめんなさいね、今日1日振り回してしまって。総ちゃんの部下ともなると、毎日大変でしょう?」

ミツバさんは困ったような、哀しそうな顔でそう言った。

「私が寂しい思いをさせまいと甘やかしたばっかりに、あんなわがままに育っちゃって……今日だって仕事が忙しかったはずなのに、本当にごめんなさいね」

ミツバさんの言葉に少しだけ答えを迷ってから、私は言葉を切り出す。

『もう慣れっこですよ、あの人のおーぼーっぷりは』

「え?」

『いっつも仕事は私任せだし、かと思ったら急に仕事ほっぽり出して付き合えとか言ってくるし、ドSだし、馬鹿だし、振り回される側は困ったもんです』

でも。

『でも残念ながら、上司が上司なら部下も部下なんですよね。あの人といると、刺激が多くて楽しいですよ、心臓に悪い刺激ばっかですけど』

ミツバさんは私の言葉にぽかんとしていたが、しばらくするとクスクスと笑いだした。

「貴方が総ちゃんの部下でよかったわ。貴方なら私がいない後も、きっとなんとかなりそうね」

『うーん……それはちょっと不安だな……』

そんな話で盛り上がっていると、どこかからやってきた1台のパトカーが、私たちの前で止まった。中からは土方さんと、アフロに変わり果てた山崎がいた。

「テメェら、こんなとこでなにして……!」

「! 十四郎さ…………ゲホッ!ゲホゲホ!」



十四郎さん、と言おうとして、ミツバさんの意識はそこで途切れた。

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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時

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