第18話 ページ20
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私の目の前にいるのは、無表情の倫太郎くん。
見知らぬ女の子たちを相手にした後で不機嫌なのか、少し怖い。
「ご、めん。見てた」
「どっからどこまで？」
「……LINEの交換お願いされて、それを倫太郎くんが断るところまで」
「何それ全部じゃん」
私が素直にそう答えると、倫太郎くんは軽く笑った。
LINEの交換をお願いされる前にも何か会話があったのかなと思っていたけど、彼の言葉を聞くとやっぱりあれが全てのようだ。
「じゃあ、聞いてんだ？」
「何を？」
「俺に好きな子がいるっていうの」
「……うん、まぁ」
その好きな人ってもしかして。
そう言おうとして、すんでのところで言葉を飲み込んだ。
私が聞いていい質問なのか分からなくて、躊躇してしまう。
倫太郎くんは少し考える仕草をした後、パッと私の顔を見た。
「ごめん、ちょっと来て」
「え、ちょっと！」
倫太郎くんは私の手首を強く握って引っ張る。
足早に移動していく彼に何とかついて行こうと、私は小走りになる。
「どこ行くの？」
「この前の空き教室」
「倫太郎くん、部活は、」
「今日オフ」
私の質問には答えてくれるものの、こちらの顔は見ようともしない。
空き教室に行ってしまえば私は倫太郎くんから何を言われてしまうのか、それが全く想像できなくて怖い。
空き教室に着き、ドアを閉めると倫太郎くんは手を離してくれた。
久しぶりの二人きりの空間に、心臓がうるさい。
ここに来るまでの間、ずっと私を見ていなかった倫太郎くんがやっと私のことを見て、目が合った。
「Aさ、」
久しぶりに呼ばれたそれに、なぜか涙が出そうになる。
この低くて優しい声に名前を呼ばれると、私は安心感を得られるから。
「俺に何も言われない日常に慣れた？」
静かな教室に響いた、倫太郎くんの声。
笑ってもない、怒ってもない顔に、どういう意図で聞いているのかはよく分からない。
「慣れてない」なんて口が裂けても言えなくて、私は少し意地を張った。
「まぁ、ちょっとは、慣れた、かも」
「……そっか。まぁ、Aは元々そんな日々を望んでたんだもんね」
倫太郎くんが天井を仰ぐ。
まだ明るい外から差し込む光が、彼の顔を緩く照らした。
「こんなこと言うのもかっこ悪いけどさ、」
そして、また私を見る。
私が大好きな草色の瞳は相変わらずだった。
「俺はね、全然慣れない」
倫太郎くんは悲しそうに笑っていた。
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- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます！ くろおくんですね！ いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす！ 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ！完結おめでとうございまーす！！ (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！ 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年12月18日 1時
