アンハッピーフューチャー (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:306 hit

仕事場ページ2

「ニノ、まだ外に出てないの？
今朝ニノからウチに退職届が出たって噂が流れていたけど。」

朝会社に行くと、いつもより少し悲しそうな顔をした相葉さんがそんなことを聞いてきた。

「分からないです。ニノ、私が行くと声を荒らげるか完全に無視するかのどっちかですから。」
「苦しくないの？」
「今のニノに比べたら、私の胸の痛みなんて少しです。それでも、私にとっても凛はとても大切な親友だった。」

相葉さんは悲しそうな表情を浮かべ、私を見た。

「どうすればいいのか分からない。
二ノまで居なくなるのが怖い。」

私はニノのことがまだ好きだから。
どうしようもなく好きだから。
だから、親友と好きな人が死んだら、私は生きていけない。

あぁ、怖い。
2人に置いていかれる。
これ以上遠くに行ったら、きっと私の手は彼らには届かなくなる。
それがたまらなく怖い。

「……今日は早退すれば？」

相葉さんは私の頭をぽんと撫でた。

「君は、頑張りすぎだ。
気抜いておいで。」

とても優しい相葉さんの声の音色に、胸の痛みが少し治まる。

「ごめんなさい。相葉さん。」

本当は私情のために会社を休むなんて許されない。
でも今日だけは相葉さんの言葉に甘えよう。
優しい相葉さんは、私の返事に顔をクシャクシャにして笑う。
そんな相葉さんに少しだけ心が救われたような気がする。