闇の中の白【五条悟】

6.玩具 ページ7

硝子side




｢硝子〜Aなんか言ってなかった？｣


｢言ってたよ。けど教えない｣


｢えー、それなら本人に聞こう｣



最近クズの友人の1人
最強の代名詞である五条悟の機嫌がいい


今日は彼の嫌いな座学だというのに
かつて類を見ないくらい上機嫌だ



またなんかAに
ちょっかいを出しているんだろう



可哀想に。




ついでに巻き込まれてる伊地知も。



どこからか悲鳴が聞こえてきたのは
気の所為じゃないだろうな



隣でクックックと笑いを噛み殺してる男に
冷ややかな視線を送る



Aは歌姫よりも
リアクションが良いからなぁ




悟のいい玩具だ





.
.
.




放課後、ご飯を食べたあと


泣きついてきたAから
大浴場でも延々と愚痴を聞かされた



うんうん、仲がいいんだな二人とも。



｢大袈裟に反応しなければいい。私みたいに｣


｢大袈裟にしてないですよ？｣


｢してるよ｣


｢してないですー｣



私たちの教室に聞こえるくらい
叫んでたのはどこの誰だか



私の部屋に来てそうそう
体育座りをして項垂れるA。



陰気臭いからやめてと言えば

先輩って結構Sですよねって真顔で言われた。



そんな事どうでもいいな。



｢で、術式反転の方はどうなんだ？｣



話を変えれば



｢さっぱり分からないです｣



なんて口を尖らせるA。



濃度を下げるのが彼女の術式順転なら
術式反転は濃度を上げるものになるはずだ



と、なれば。

何かしらの治療にも生かせるかもしれない



だからまず反転術式のやり方を教えてるのに
全く分からないというA。



残念だな




｢だってぱーっとしても出来ないですもん｣


｢違う。ぱーってやってひゅいっとするんだ｣


｢ひゅいってなんですか｣



ひゅいはひゅいだ。



｢硝子は感覚派だから俺らにはわかんないよ｣



｢げ。｣



目の前のAの表情が途端に曇る


ほら、悟はそういう
わかり易いのが好きなんだ…クズだから



｢どーだった？今日の。面白かっただろ？｣


｢机の引き出しの中にカエル入れるなんて小学生でもしませんよ｣



……それであの悲鳴。



｢じゃあ靴箱から取れない上履きは？｣


｢先生に言って新しいの貰いました。｣


｢シャー芯全部無くなってたのは？｣


｢伊地知に借りました｣



…悟。それ、

ほとんどいじめじゃないの？

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