闇の中の白【五条悟】

5.暗闇 ページ6

任務を終えて学校に戻ればもう夜中。



私の任務は夜がメインだから
これがいつもの事なんだけど、



私は、暗闇が苦手だ。



色素の薄い瞳のおかげで
普通より明るく見えてはいるが、



暗闇は苦手。



特にこの学校、周り森だから


フクロウとかの鳴き声するし

木造建築の校舎は歩く度軋むし、

怖さ5割増しぐらいになる。



夜蛾先生への報告も終わって
寮に帰る途中、




｢七海先輩、手離さないで下さいね｣



ギシッ



なになになになに！？！？



今後ろの方から軋む音が聞こえたよ？


あとついでに隣からため息も聞こえてきた



｢呪霊は怖くないのに、なんで暗闇が怖いんですか……｣



先輩の呆れた声は聞こえなかったことにする



ギシッ、ギシッ、




え、まって。
足音確実に近づいて来＿＿＿＿




パシッ



七海先輩の服の袖を掴んでいた方の手首を掴む何か




｢こんな夜中になーにくっついちゃってんの？｣


｢…っ！｣



叫ぶより先に、

口を覆われて言葉は出なかった。



けど、無我夢中で暴れれば
口を覆っていた手が離れる



｢ははっ、まじウケる。俺だよ俺｣



この声…と無駄に安心するこの匂い。


五条先輩？




視界に映ったのは



私を見下ろしてニタニタしてる
性格悪そうな顔(しかしイケメン)



まじこの先輩有り得ない！！



睨みつければ



まだケラケラ笑ってる五条先輩に苛立ちが募る



｢七海、こいつ置いていっていいよ。｣


｢は！？嫌です！！｣



七海先輩！と縋るように見つめてみるも、

多分効果なし。



｢彼女、怖がりなのでちゃんと部屋まで送り届けてあげてくださいね｣



｢なーなーみー先輩ー｣



遠ざかる背中と

隣から聞こえる嫌味な笑い声



ただでさえ任務で疲れてるのに最悪だ。



｢ほら、俺にもひっつきなよ｣


｢断固拒否します｣


｢お前最近俺嫌いなの隠そうとしなくなったよね｣


｢隠しても滲み出ることが分かったので｣



怖いけど、怖いけど、

嫌いな人に縋るくらいならと


なけなしのプライドと怖さを天秤にかけて

何とか1人で軋む廊下を進む私。




｢ねえ、A。そこ、なんかいなかった？｣




先輩のガチトーンの言葉に止まる私の足音。



｢ほら、少し前のそこ｣



おちょくられてると分かっているのに。



｢五条先輩…手、繋いでください｣


｢え？なんて？｣


｢手、繋いでください！｣


｢ふふっ、いいよ｣



私は今日も五条先輩に遊ばれている

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