闇の中の白【五条悟】

3.ピアスと天敵 ページ4

｢あんま気づかないから返すの忘れてたんだんだよね｣




そう言って五条先輩が投げて寄こしたのは



＿＿＿＿私のピアス




耳たぶに触れれば何も無い。




いつの間に？



｢取られたくなかったら隙を見せないことだね｣




そのままヒラヒラと手を振って歩いてく先輩に

あっかんべーをして部屋に戻る




除菌効果のあるルームミストを部屋に撒くついでに
ピアスにもかけておいた



これは私の大切な友人の形見。



他人に気軽に触らせられるものじゃないのに



あの先輩コノヤロー…




考えれば考えるほどイライラするし、苦手だ。



でもまあ、いっか。


先生にも言ったから
任務が被ることも無いはずだし…





.
.
.






学校終わり、

硝子先輩の部屋で



任務のことを愚痴ったり

先輩の愚痴を聞いたりして過ごしていたら



コンコンではなくドンドンと

激しめのノックが聞こえてきて、




｢硝子ー、俺だけど。入っていい？｣




げ。

私の天敵の声がした




硝子先輩と目が合って全力で首を横に振ったら

先輩はニヤッと笑う



｢いいよ｣



硝子せんぱあああああああい




項垂れる私を余所に
扉が開く音と足音がして



｢あのさー、反転術式の事なんだけど｣



よりクリアな苦手な人の声がする



｢お、イチネンセーじゃん。お前ら仲良いの？｣


｢うん。羨ましい？｣


｢ウラヤマシー｣



すごい棒読み。絶対思ってない。

なんで私が悲しくならなきゃいけないの



あーやだやだ



｢私、邪魔みたいなので帰りますね！｣



ささっと出ていこうとしたら



｢別に居てもいいよ。俺すぐ帰るから｣



両肩をガシッと掴まれて
くるっと体を半回転させられてストンと座らされる。



変な所で気遣い出来なくていいんだって

五条先輩ーーーーーあーーー。




私の方を見て楽しそうな硝子先輩

意外とSっ気ある人らしい。



そのまま、座っていたら
反転術式がうんたらかんたら話す五条先輩。


意外とまともに呪術師やってるんだなぁって
少しだけ、見直した。ほんとに少しだけ。




｢おっけー、ありがと硝子。邪魔したなイチネンセー｣



ボサボサと雑に髪を撫でられる感覚にせっかく櫛で梳いてきたのに……ってぶすくれてたら



｢イチネンセーじゃなくて、Aだよ。
1年生だと伊地知もいる｣



硝子先輩は笑っていた



｢ふーん、じゃおやすみ。硝子と、A｣

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