哀れな孔雀に毒蛇の愛を。【usss】

神経毒の行く末 ページ42

毒蛇の王であるキングコブラの神経毒は凄まじいものらしい。


神経を麻痺させ、命まで奪ってしまうんだとか。


そんな毒に耐性を持つ孔雀は、果たしてその毒を喰らえばどうなってしまうのだろうか。

獲物を逃がさまいと孔雀達は毒が効かないことをさらけ出すように気にせず毒蛇を追いかけ回すのだろうか。


恐らく答えは否だ。


賢い"彼ら"ならば、毒にかかったフリをし続け、最後には毒蛇を食べてしまうのだろう。

これこそ、じわじわと確実に。



「...どうしようか、Aの進学先は国公立の大学らしい。」

「にしても、Aは俺らの前ではまだ進学決まってへんって言うてたのになあ」



うらたがAの友人から半ば脅すような形で得た情報を口にする。

やり方に口を挟むことなく、自分たちへの態度へ不満そうな声を漏らしたセンラは4人集まった部屋で大きなため息をついた。


そんな二人を見て、志麻が小さくつぶやく。



「まだ確認は取ってへんけど、ここも出ていくらしいしな」

「っはあ！？出ていく！？どこに、」

「いや、その場所が確認取れてへんねん」



志麻の言葉に過剰反応したのは坂田だった。

A本人からは何も聞いていないのに彼らの場所には彼女の情報が集まる。

そして、彼らもまたA本人に聞くようなことは怪しまれるのを避けるためにしなかった。



「...これじゃ逃がすことになりそうだな、経済学部志望の友達誰かいるっけか」

「えー...でも友達だろうが男付き添わされるんはなぁ...俺らは大学までは一応大人しくしとく作戦やし」



センラが明らかに不満そうな顔をした。

そんな彼を横目に坂田がふと先日廊下を通りかかった時に小耳に挟んだことを口にする。


「そういや、Aとよく一緒にいるあの子は同じ大学で同じ学部志望らしいで」

「あぁ...あの子か」



いいじゃん、その子に頼も。女なら多少は許せるし。

うらたの口元は歪んでいた。

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