哀れな孔雀に毒蛇の愛を。【usss】

出会い ページ1

「うらさーん、ちょっと部活のことで話しあんねんけど」

「あー、ちょっと待って。まーしぃは？」

「センラが呼びに行ってくれとる。はよいこ」



教室の廊下側の空いた窓から顔を出し、うらさんと呼ばれた男子生徒を手招きする赤い髪の生徒。



「ねえねえみて、坂田くんだ...！」



ヒソヒソ。
彼らを見て女子生徒たちが一斉に黄色い声で話を始める。
彼女らの胸についたバッジは青色。彼女らの話題の中心である彼らと同じ2年生である。

既にこの教室にいる女子生徒の話題は彼ら一色に染まってしまい、Aは窮屈さを感じた。



「ね〜、みんなは誰がタイプ？」

「私はセンラくんかな。面白くてかっこいいんだよね」

「えー！？私断然うらたくんなんだけど...！うらたくんのしっかり者なところすごい好きでさ」

「いや私はやっぱり志麻くんかな...ちょっと強引そうだから付き合ったらリードしてくれそうだし」

「なんで坂田くんじゃないの！？明るくて人懐っこくて元気でさ、彼氏だったら毎日楽しそうじゃない！？」



わいわい、がやがや。
楽しそうな声を他所に1番窓側の1番後ろの席のAは1人卵焼きを口に放り込む。



「...うるさ」



耳に入ってきたところで、名前と顔が一致していないAにはよく分からない話だった。

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