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3限目が終わった頃になるとクラスの子たちはみんなソワソワ。鏡を見て前髪を整えたり、リップを塗り直したり。
きっとジャンハオ先生が来るから。
「サラ、おかしくないかな?」
「うん、可愛いよ」
わたしの前髪に手を伸ばして少し整えてくれたサラは、満足気に頷くと優しく微笑んだ。
『おはよー』
少し気だるげなそんな挨拶にわたしはビクッと反応してしまう。
教団に立つジャンハオ先生とほんの少し目が合うだけでもドキッとして、恥ずかしい。
意識した途端、顔も見れなくて教科書を開くふりをして顔を隠すと、その日の授業はずっと机に視線を落としたままだった。
「サラぁ〜」
お昼休み、泣きそうになりながらサラに抱きつくと、「よしよし」と優しく慰めてくれる。
「自分から話しかけに行きなさいよ」
「え〜、できないよ」
「彼女になるんでしょ?」
「……うん」
朝までの勢いはどうしちゃったのか。
「たぶん職員室にいるんじゃない?授業でわかんないことあるからって勉強教えてもらいながらお昼一緒に食べてきたら?」
「え?一緒に?そんなのできないよ」
「そんなんじゃ発展しないよー?」
サラに背中を押されて、わたしは「よし」と意気込むと数学の授業プリントとお弁当を手に教室を飛び出した。
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作者名:ばしみちゃん | 作成日時:2023年5月26日 22時