検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:259 hit

ページ3

少し昔の話をしようかな。




それはまだ私が社会人として働き初めて、一年もしない夏のことだった。




その日は散々で、上司からはありもしない失敗の責任を押し付けられて精神的にも肉体的にも参っているときだった。



そんな私の前にあなたが現れたのは。




「おねーさん…」




家に帰る途中の路地裏で誰かに呼び止められる声がした。




最初はそう、きっと気のせいだと思って聞き逃していた。




でも気のせいだとしても、余りにおかしい。




なぜならこんな時間に人がいるのは、いくら東京の町外れといっても可笑しいからだ。




何しろここは時代に置いてかれたかのように寂れていて、ましてやこんな時間など…。




そう考えると急に恐ろしくなって、少し早足になる。




「…ねぇって…」




やはり人がいたのか、もう一度呼び止める声が聞こえた。




「…聞こえてんでしょ、おねーさんに言ってるの」




途端に路地裏から人の姿が現れた。




「よかったらさ、おねーさん俺を拾ってくれない?」




生憎家を追い出されちゃってさ…そう言って笑う彼の姿は、何処か不気味でまた何処か美しかった。

3→←1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.5/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:歌い手 , そらる
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:無名という名の無名さん。 | 作成日時:2018年1月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。