【最遊記】５００年の約束＿来世の夢＿ (ページ16)

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六十四話目絶望に呑まれるページ16

その背中にがあまりにも大きく、強く、温かかった。
そして突然、頭の中で高い音が響いた。
激しい頭痛がやってきて、頭を殴られるような感覚に陥った。
呼吸をさせないと言わんばかりに胸は苦しく、何があったのかも分からない。

ただ、目の前の二人の方を見ると…その苦しさは増し、先程の懐かしさを同時に与えてきた。

主＞うっ…ぁあ…！？

八＞！A！！

浄＞ってめぇ…Aに何した！

悟浄がそう言って飛び出し、彼に向けて武器を振っていく。
しかしすり抜けるそれには物理攻撃は効かない。
分かりきっていることに関わらず、悟浄は手を止めなかった。
笑みを浮かべた春澪はモヤを悟浄へと向け、掴み上げると地面へ叩きつけた。

浄＞ぐっ……っ…！！

八＞悟浄！！

春＞覚醒は近い、『聖印』は私を求めようとしているのだ。
…お前らに構う暇はない、どけ。

そう言って八戒にもモヤはすごいスピードで来て彼にぶつかると同時に木へと押しつけた。

八＞うっ…ぁあ…！！

主＞二人、とも……。

春＞…さあ『聖印』。お前のせいで二人は死ぬ。
その絶望を、思い出すんだ。

主＞ぜつ、ぼ…う…？

春＞お前は知っている、あの日救えなかった悲しみを、怒りを、己の不甲斐なさを！！

愛する者との一生の別れを、お前は知っている！！

それを思い出せ！！清華！！

何を言っているのか、彼らは分からなかった。
唯一、Aだけがその意味を知っていた。

自分のせいで……＿＿＿＿＿は死んだ。

お母さん、町の皆、大僧正様。
何でこんな物があるんだろう、どうして男として生きなければいけなかったのだろう。
愛した人達が自分のせいで亡くなったあの時、どれだけ死にたいと思ったのだろう。

その気持ちは……もっと前から知っていた。

彼を救えなかった。
何も出来ない事が悔しかった。
戦えない事に歯がゆい気持ちでいっぱいだった。
泣いてばかりで何も出来ない己が嫌いだった。

あの方と添い遂げる事も、出来なかった。

『清華』

主＞「あぁああああああぁああぁあっっ＿＿＿＿！！！」

呑まれるAに、春澪の満面の笑みが浮かんでいた。
幸せそうな彼に、必死に立ち上がろうとする悟浄と抵抗する八戒。
しかし、背中の『聖印』はどんどんAを呑み込み黒い模様を身体へと伸ばしていく。

そんな姿に嬉しそうにする春澪のに、突然何かが降ってきた。
それは彼も知る少年がそこにいた。

春＞……斉天大聖……！！

悟＞……あんた、誰。