六話目 六年生のお世話係一 ページ8
華音>小平太、文次郎を困らせてはダメよ。
それに、文次郎に手合せを頼んだのならちゃんと最後まで相手をするものでしょ?
小>細かい事は気にするなー!華音もやるぞー!
小平太が苦無を持ったまま華音に向かうけど、やはり避けていく彼女の動きには強さが現れていた。
軽々と避けているように見えるし、余裕のあるその顔が文次郎にも火をつけた。
文次郎の袋槍が横に流れてきて、それもサラッと避けた。
華音>もう、文次郎。危ないわよ。
洗濯物がまだ汚れてしまうわ。
文>軽々と避けているやつが何言ってやがる!
俺とも勝負しろ!ギンギーン!!
二人の攻撃に対応しつつも、洗濯物を気にしていればたまたまなのか立花仙蔵と中在家長次が、こちらに向かって歩いてきているのが見えた。
華音は笑って二人の方へと走り出した。
華音>仙蔵、長次!
仙>ん?
華音>あとはよろしく。
華音が高く飛び上がり、二人を越えてまた走り出すと華音を追っていた小平太と文次郎が仙蔵達に突撃してしまった。
これを狙って笑ったのか、小平太達が顔を上げた時には華音はそこにはいなかった。
小>やるなあ!流石華音だ!
文>くそっ!逃げやがって…!
仙>…文次郎、小平太。
そんな事を言っている場合か?
仙蔵の低い声に、二人は振り向けば怒った顔の二人。
正確には怒った顔の仙蔵と、笑っている長次がいた。
長次の笑っている時、つまり…怒っている時。
華音の代わりに二人が鍛錬の相手になる事も踏まえてなのか、影から見ていた華音は安心してそのまま洗濯物を持って部屋に向かおうとした。
が。
留>華音!ちょうどいいところに!
戦う事が大好きな食満留三郎が華音に近づいてきた。
いつもの様に勝負を挑まれるかと思いきや、そうではなさそうで…。
留>伊作を見なかったか?
華音>あら、また落とし穴に落ちたのかしら。
留>お前…すぐにそっちに持っていくんじゃない!
それじゃあ伊作が毎日毎日落とし穴に落ちているみたいじゃないか!
華音>毎日毎日、でしょ?
留>…。
返す言葉がない、そんな顔をしていて華音はまたふふ、と笑っている。
来てからたった数ヶ月しか経っていないのに、彼女は人を理解るのが早い。その人の特徴や性格、それをわかった上で小平太達の扱いに手馴れていたり、仙蔵達に流れで任せたり…。
留三郎や伊作も同様だった。
華音>…でも、そんな伊作には留三郎がいてくれるから大丈夫よね。
留>…?
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作者名:霜月 | 作成日時:2020年3月6日 0時