五話目 五年生のお世話係三 ページ7
八>んぐっ……。
顔が胸元に埋まるように倒れ込む竹谷八左ヱ門。
一瞬時が止まったかのように見せかけてしまうこの光景を、もちろん他の四人が黙っているはずもない。
なのに、やはり雪はいつも通り。
雪>大丈夫ですか?
顔を近づけて、八左ヱ門の両頬に手を添えた。
固まっている八左ヱ門と、圧が強いほかの四人。
今の八左ヱ門は、冷や汗と熱でめちゃくちゃになっている。
もちろん、この後更にめちゃくちゃになるのは…言うまでもない。
蓮花>…姉さん、何してるんですか。
雪>鉢屋君に化粧をしてもらっていました。
蓮花>姉さんは、化粧をしなくても綺麗ですよ。
その人はそれがわかってないんですね。
雪>蓮花、頬に泥がついてますけど。
蓮花>…何でもありません。
それにしても、五年生の方々荒れてますね。
…いつも通りですけど。
雪>仲がいいんですね。
蓮花>…本当にわかってないんですか。
雪>何のことですか?
蓮花はため息をついて、雪の手を掴みそそくさと連れ出した。揉めている五年生を無視して何事も無かったかのように。
雪も雪で連れ出されている事に疑問を持たず、そのまま蓮花と一緒に部屋を後にした。
蓮花>華音姉さんの元へ行きましょう。
雪姉さんにも、それで用があったので。
雪>…わかりました。
蓮花>わかっていますが…。
雪>わかっているならいいんです。
何も問題ありません。
蓮花>…なら、大丈夫です。
姉さんは特別なんです。本来なら…ここに来るのも私と華音姉さんだけでよかったのに。
蓮花の悲しそうな顔に、雪は頭を撫でた。
そして手を繋ぎ、華音の元へ行こうと足をどんどん早めた。
蓮花はそんな雪について行きつつ、手を強く握っていた。そんな光景は…まるで、姉妹のようで…。
小>華音!鍛錬の相手をしてくれー!
文>はあ!?小平太!今俺に相手してくれって言っただろ!!
イケイケどんどんと走ってる七松小平太を、サラリとかわして取り込んでいた洗濯物のカゴを持った彼女は、六年生のお世話係、九条華音。
そして小平太とともにやってきた忍術学園一ギンギンに忍者をしている潮江文次郎。
互いの武器を持ち、鍛錬を行おうとしていたのに…洗濯物を取り込む彼女を見つけた小平太は、主人を犬のようにすぐ様彼女の元へとやってきた。
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作者名:霜月 | 作成日時:2020年3月6日 0時