四十一話目 散り際の華達 ページ49
山奥にある一つの洞穴で大きな音が響き渡る。
その音で周りの動物も怯えて近寄る事はなく、近づけば近づく程鉄の臭いもしてくる。
地面に染みている血はもう乾ききっているのに、そこに上書きされるかのようにまた酷く飛び散っていく。
何かが落ちる音がすると、その拍子に鈍い音は響かなくなった。
男一>頭領、遣いの者が戻りました。
忍術学園は、こちらの警戒をしつつ探りを入れているようです。
頭>他には。
男一>…雪様が、こちらに戻る動きはありません。
そう言うと、頭領は男の襟を掴み…大きく投げ飛ばした。イラつき、怒り…様々な物が入り交じったその一撃は男の身体中に響きすぐに動くことは無かった。
頭>…だ、そうだ。この後どう動く。
声をかけられ、よろけながら姿勢を整えようする二人の女性は血を流しながら頭領を見た。
ポタ、とどんどん流れる血を周りにいる月華は見向きもせず目を伏せてそこにいる。
二人の息は整っていないけれども、すぐに答えない事でまた一撃が飛んでくる。
その前に華音が口を開いた。
華音>あの子は「特別」です。
必ずや、頭領の元に連れて参ります。
蓮花>そして、頭領の手で…。
頭>生ぬるいな。
連れて参るだけでは生ぬるい。
お前達だけの手で忍術学園の上級生を殺してから連れて来い。
出来ぬのなら、さっさと散れ。
頭領がそう言い終わると、二人はすぐ様動き出し、外へと走り出した。
その姿はあまりにも無惨で二人だけでやるなんて不可能のような事なのにそれを命じた彼の思考を、その場にいる者達は理解出来ていなかった。
頭>…散り際の華なんぞ、美しく咲けるはずが無い。
いらぬ害虫は、早めに駆除するものだ。
雪>…姉さん達は、二日以内に何かを仕掛けてくるでしょう。早くて今夜には…。
学園長>その根拠は?
雪>月華は獲物を野放しにしません。
いらぬ害虫は、早めに駆除するものだ。
頭領は、よくそう言っていました。
集められた知った顔達と雪、そして一部教師と学園長。張り詰めた空気の中で、雪は今後どう動くかを予測しつつ会議が行われていた。
他の生徒達もさっきまでの事があったからこそ、気持ちは同じ。覚悟も決めているからこそ、学園長がそれぞれを見つつ…少しして一つ頷いた。
山>…お前達に任務がある。
八>任務…?
学園長>お主達の任務は…
二人を含んだ月華を落とす事じゃ。
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作者名:霜月 | 作成日時:2020年3月6日 0時