【忍たま乱太郎】咲き誇る華達 (ページ42)

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三十九話目行くなページ42

今夜落としに来る、最早大戦が始まる。
終わりという名の先の見えない事になるのは彼らも分かっていた。
しかし、それを言葉にされるだけで気持ちは既に上向きになれるわけではない。

対策という算段が果たしてあるのか。
ここにいる忍術学園の上級生だけで何とか出来るものなのか。

不安の空気の中、覚悟を決めたかのように…雪が言葉を放った。

雪＞…一つだけ…月華を止められる可能性はあります。

田＞止められる可能性…？

雪＞私が、月華の所へ行きます。
そこで私が、彼らを止めます。

刃を交えても、何があってもあの人達を……。

その雪の言葉に即座に立ち上がり、雪の両肩を掴んだ八左ヱ門は怒った顔をしていた。
いや、怒った…というよりも…苦しそうだった。
まるで、彼女が言うことをわかっていたかのようにすぐに反応してきた八左ヱ門。
雪は微動打にしなかった。

八＞お前…今まで言ってきたことや俺達の言葉を忘れたのかよ！！
俺達は、そういう意味でここにいて欲しいって言ったんじゃない！！

雪＞竹谷君、私は貴方達とは違う。

私は、暗殺者として育てられてきました。

この手で…人を殺めるために今日まで生きてきました。
…私は、私にしか出来ない事をやります。

そう言って八左ヱ門の手を払うと、己の手を握りじっと見つめた。暗殺者、そしてその手には過去に殺めた人の血が落ちることなく残っている。
彼らに出来て彼女に出来ること、それは全く違う思考を持っていたのだった。

八＞じゃあ…お前は…あの二人や、お前の仲間と殺し合いするのかよ！！

雪＞…私は暗殺者で、貴方達は忍者のたまごです。

雪はそう言って立ち上がり、部屋の襖を開いた。
太陽が照らしていてとてもいい天気。布団を干すには最適ないい日和だった。

なのに、彼らの心は全く晴れない。
彼女の背中は遠くにいるように感じてしまった。

出て行こうとした彼女は、もう二度と戻らないと言うような気がしてそのまま彼らの方を見なかった。

けれど、その動きはすぐに止められた。

？＞…行くな。

後ろから抱き締められて、耳元に聞こえてきた震える声。動けるのに、振り解けるのに身体は動こうとしなかった。

彼の温もりが暖かい、でもここにいたら月華に忍術学園は落とされる。
短くて暖かい時間が、消えてしまう。

皆が、死んでしまう。

だからこそ、私が行くべきでこれは私しかやれない事。

なのに……身体は動かなかった。