三十四話目 変化した気持ち ページ37
雷>雪!!
雷蔵達が部屋を飛び出して雪の元に行った。
塀の方を向いている彼女は、ただ呆然と苦無に刺された華を見ていた。
地面に刺さった鈴蘭がそこにある。
何も言わずともわかった、雪の華は…鈴蘭だと。
それが制裁を示すものなら、彼女達は本当に雪を含めて忍術学園に刃を向けたのだと。
留>…雪。何であいつらに苦無を向けた。
留三郎が雪の元に近づき、彼女の後ろから話してきた。
本当なら華音を追いかけたかったはずなのに。
後ろからまた彼女に視線が集まるのがわかった。
雪には今やってしまった事が信じられない中、頭の中は白紙の紙のように真っ白だった。
ただ、唯一言葉に出来たのは。
雪>…ここにいたいと、思ったからです。
留>……そうか。
そう言うと、留三郎は…雪の頭を優しく撫でた。
後ろを振り返れば、彼は微笑んでいた。
彼だけじゃない、何人もの生徒は彼女に怒りの視線向けていない。
例え彼女に迷いがあっても、彼らの目の前で生徒を守った彼女の姿は証明された。
ここにいたいと…そう思えたのは彼らがここにいるから。
浜>…先生。俺、雪さんの行動を見て…雪さんは俺達の事、暗殺者としてここにいたい訳じゃないってわかったから…もう、この人が責められる必要は無いと思います!
守一郎が大きな声で先生全員に聞こえるように言うと、先生は黙りつつ彼女を見ていた。
学園長は言わずもがな、そこにいる生徒も皆が、今の彼女を見ていた。
兵>雪…ここにいていいんだからな。
雪は暗殺者じゃない。
勘右衛門と甘い物食べてる時や俺の作った豆腐食べてる時、柔らかい表情になって、素直で…どこか距離を感じる時があった。
でも、雪がここにいたいって望むなら…俺達だって同じだよ。
雪にここにいて欲しい、なんたって…雪は五年生のお世話係だからな。
決められなくて、わからなくて…それでも今動いた事は嘘ではなくて。
彼らがいるから、ここは私に答えを教えてくれたから…ここにいたいと思えた。
まだ、月華に向けた刃に迷いがある。
二人と…あの人に刃を向けた。
もう戻れない。
これ以上…ここの人達を、死なせたくない。
それが、今の私がやれる事。
蓮花>…姉さん、雪姉さんの事…わかってたんですか。
華音>なんの事かしら。
蓮花>…雪姉さんは、忍術学園に残る事を。
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作者名:霜月 | 作成日時:2020年3月6日 0時