二十五話目 尋問 ページ28
雪>…食満先輩、潮江先輩…立花先輩、七松先輩。
火を灯しながら、姉さんがお世話係をやってきた学年の人達がそこにいた。
牢屋越しでもわかる、彼らが怒っている事。
いや…怒っているならまだいいのかな、彼らは…私達に怒り以上のものを抱いていると思う。
姉さん達がここにはいないということは…逃げ切れたのだろう。
そして、二人は…一人殺す事を達成したのか。
留>お前には聞きたい事が山のようにある。
今からついてきてもらうぞ。
扉を開き、食満先輩と潮江先輩が入ってきた。
腕を掴んで私を立たせると、すぐに食満先輩が先頭に立って歩き出した。
後ろには潮江先輩。そして両側に六年生の二人。
逃げ場を失われているのはわかる。
相手も逃がさない気でいるのだと。
足鎖がジャラジャラと音を立てながら一歩ずつ歩き出す。怪我とまだ目を覚まして間もない影響か、ふらついてしまう。
それでも、彼らは足を止めなかった。
当然だ、私達のやった事を…許す訳もないから。
私は、殺されるのか。
…いっその事……。
集まっている四年生から六年生達。
いつもの知った顔もいるのに、空気はピリピリしている。
そしてここには、滝夜叉丸と伊作がいない。
今からここで、彼女の尋問が始まる。
お世話係と直接関わった五年生達の彼らはもちろん落ち着けるわけもない。
雷>…雪、目を覚ましたのかな。
兵>目を覚まさなかったら、今この場で起こされるだろうな。
八>…兵助、何でお前はそんなに冷静なんだよ。
お前、あいつの事心配してないのかよ…!
兵>…。
勘>八左ヱ門、そろそろ来るから。
そう勘右衛門が言うと、襖が開いた。
そこには四人の六年生に囲まれた雪がいて、彼女の手枷と足鎖はついたままだった。
ふらふらしながら、入ろうとした時鎖に取られてそのまま倒れてしまった。
衝動で彼らは動こうとしたけど、前に座っていた先生方がそれを制した。
立ち上がろうとしながらも、誰も手を貸さない。
ふと、横目をやれば彼女を見つめる五年生達がいた。
皆…悲しげな顔をしている。
これが、今の彼女の現実だった。
この光景が、彼らの心をどれだけ抉るものか。
中に入って彼女を中心にして座ると、合わせてきたのかここの学園長でもある大川平次渦正が入ってきた。
ヘムヘムも共にいて、あちこちに散らばる六年生と先生方。そして後ろは五年生、四年生達もいる。
彼女一人に対しての、大きな尋問が始まった。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:霜月 | 作成日時:2020年3月6日 0時