九話目 噂の暗殺集団 ページ11
これは、まだ朝の事。
六年生の一人がいなくなっていた事がまだ知らされてまだ大事にはなっていない時。
井戸の周りに集まっている六年生は、いつも一緒にいる彼ら達。
その話を聞きつつ、顔を洗ったり歯を磨いたりしていた。
そんな中、手ぬぐいを持ってやってきたお世話係。
一人一人にそれを手渡していく様はもう手馴れていた。
華音>おはよう、皆。
仙>ああ、おはよう。華音。
伊>そういえば、華音は聞いた?僕らの学年で今朝からどこかに行っちゃったって話。
華音>…ええ、さっき先生方から聞いたわ。
留>しかもい組からだってな。
長>…この後、探しに行くのか。
文>どうせ鍛錬でもしに行ったんじゃないか。
伊>文次郎じゃないんだから…。
留>だけど、六年生だからそう心配する事もないだろ?
長>…もそ。留三郎、それは浅はか。
留>…?どういう事だ。
長>ここ最近、噂になっている。
凄腕の暗殺集団の話が。
長次のその話題が出た途端に、空気が変わった。
皆も話だけは聞いた事があるという顔で長次の言葉に耳を傾けていた。
凄腕の暗殺集団、冗談で済めばまだいい。
けれど、その話は色んな場所から聞いている事だった。
殺された者の近くには必ず華が添えられ、まるでその者を弔うかのようだと、血塗られた華は様々でどれもこれも全て違う華だとか。
何を意味しているのかも、何のために置いているのかも何もわからず未だに未知の存在となっている暗殺集団。
仙>…何にせよ、あまり時間がかかるようなら捜索する事になる。その前に帰ってくる事を願うしかないだろうな。
小>うーー!!なんだなんだ!!私は待つより探しに行く方が性に合う!!
よし!文次郎!すぐに探しに行くぞ!
先程から黙っていた小平太が痺れを切らしたようにすぐに顔を洗って行こうとした。
けど、長次がすぐに止めた。素早い動きだったけど、それよりも問題はそこじゃない。
文>バカタレ、今の話聞いてたか。
忍者たるもの慎重に動く事が大事だということだろ。
華音>あら、文次郎にしては的を得た意見ね。
文>おい…!
華音>小平太、文次郎の言う通りよ。
暗殺者がもしも絡んでいたら、それは最も危険な状況と言ってもいいはず。
その中で、いくら貴方が六年生であっても、貴方と同じ六年生の人が殺られたとしたら……今度危険に遭うのは貴方よ。
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作者名:霜月 | 作成日時:2020年3月6日 0時