第8話 ページ9
落し物をしたため、今日行った場所を一から探すことにした結果。火影室の会話が聞こえてしまった。原因不明の暗闇の空間があるということ。木の葉の里の離れ。人が寄り付かないひっそりとした場所にそれはあるという。
音を消して急いでその場を離れて火影岩へと登る。チャクラの消耗が激しいのでこの術はあまり使いたくないのだが。印を結ぼうとしてやめた。七代目が出てきた。余計なことはするまいと、とりあえず気配だけ探る。
「ビンゴだ」
「何がだ?」
クロウカードの気配を感じて言葉に出したら、私の独り言に返事が返ってきた。驚きのあまり、その場から滑り落ちそうになったのを後ろの人物が捕まえた。
バクバクと心臓が嫌な音を立てる。後ろを振り向きたくない。下を向きたくない。絶対気づかれると思っていたけど、まさか話しかけに来るなんて思わなかった。
「さっきの話聞いてただろ」
少しばかり圧のある声は年相応とも呼べる。聞いてたとバカ正直に言ってどうする。逃げた説明もしなくてはならない。私が説明できるのは極わずかな事だけで。
「黙りか」
同じ言葉を使うな。なんて。現実逃避のように考えて渋々振り向く。やはり親子だ。よく似ている。あぁ、困ったな。これならさっさと確認しに行けばよかったんだ。
振り向いた先にいたのはシカダイの父親である、奈良シカマル。そして下にいたはずの七代目がシカマルの背後に立っていた。
「なんですか」
「聞いてたか? さっきの話」
シカマルよりも優しくけれど里の長らしい圧をかけながら問いかける七代目にため息をつきたくなる。言ってどうする。逃げた理由も述べられないくせに。黙りを決め込んで無視してくれる優しい相手でも無い。
「……聞きましたけど、どうしましたか?」
さも当たり前のように嘘をつく。嘘は一滴たらす程度に。それ以外は本当を。それが人を騙す手順だ。嘘は得意だ。嘘をつく時の表情も全て変えられる。
「それならA、お前に護衛がつく話は聞いてたか?」
「……は??」
シカマルの言葉を理解するのに少し時間がかかった。何のことだ。何のために。絶対やめて。いらない。絶対に嫌だ。
露骨に嫌というのが顔に出たらしく、七代目とシカマルは苦笑いを浮かべた。冗談じゃないよ。上手く動けなくなるのは困る。
「私なんかに護衛なんていらないです。要はそれだけですか」
「ん、まぁ……そうだってばよ」
「それなら失礼します」
その場から離れて舌打ちが零れた。
目をつけられた。
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レナ - こんばんは、体調は大丈夫ですか?更新頑張ってください! (5月3日 19時) (レス) id: 9d52581983 (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - レナさん» 嬉しいです、ありがとうございます!!更新頑張ります! (3月8日 22時) (レス) id: 37ed0d3f16 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 更新ありがとうございます!これからもこの作品を楽しく読んでいきます、お疲れ様でした! (3月8日 22時) (レス) @page24 id: 9d52581983 (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - レナさん» 心配をおかけして申し訳ないです……。遅くなりましたが更新させていただきました!楽しみに待っていただき本当にありがとうございます! (3月8日 22時) (レス) id: 37ed0d3f16 (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - ユキさん» 遅くなってすみません!更新させていただきました!楽しみにしていてくれてありがとうございます! (3月8日 22時) (レス) id: 37ed0d3f16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:清水ファンタジア | 作成日時:2023年3月31日 18時