第25話 ページ27
Aを家まで送った俺は、自宅に向かっていた。
晴れていたはずの空は既に赤く染っていて、どことなく不気味に感じるのは、きっと気のせいだ。
先程、Aから説明されたことを思い出して深くため息をつく。
「契約術って……」
それだけじゃないだろ、と言いたくなる気持ちも確かにあったが、きっとAは答えてはくれないのだろう。
それはいつもの事だ。肝心なところは絶対に話してくれない。
Aは大きな鳥が現れた日から契約術を使っているらしく、カードになる精霊の気配を察知出来る。
普通の契約術なら杖なんか必要ない。が、Aの場合は特別で、血と共に名前と杖が必須らしい。
「……はぁ、めんどくせー」
とは言いつつ、一緒にいることが多い俺が巻き込まれることは絶対である。
だからこそ、先程必要のない俺を連れてきてワザと目の前で見せたらしい。
どうせ下忍になったら遅かれ早かれみんなにバレてしまうというのが、Aの考えなんだろう。
再び深いため息をつきながら、ただいまと口に出しながら家に入れば、誰の返事もなかった。
「? 留守?」
食卓を囲む部屋に行けば、テーブルに1枚の紙切れが置いてあった。
「……なんだ、母ちゃんいねーのか」
紙切れには緊急で砂に呼ばれたため、ついさっき行ったようだ。
まだ少しばかり部屋が暖かい。
1人だと考えごとも静かに出来るので楽でいいが、その分めんどくさい家事もやらなくてはいけなくなってくる。
「クロウカード……」
Aは確かにそう呼んでいた。
曰く、前任が作り出した契約術で後継者がAらしい。
それ以降は何も教えてくれなかったが、親父が言っていた謎の気配と謎の現象は、全てカードの精霊によるものだろう。
先程のミラーとかいう奴はまるで、Aを試しているかのようにも思えた。
それとも……。
そこまで考えて俺は思考を停止した。
「いいや、めんどくせー」
Aが言いたくないなら、深く聞くこともない。
変に考えたところで答えが辿り着く訳でもない。
かりに辿り着いたとしても、答え合わせをしてくれる訳が無いのは知ってる。
何せあの性格だ、誤魔化すに決まっている。
他人のことはよく見る癖に、自分の事となると無関心で、詳しいことを教えたがらず、飄々と交わしてしまう。
本気を出せば、Aを出し抜くことも可能だろうがやる気にはなれない。
惚れた弱みだ、と親父が母ちゃんを見て照れくさそうに言っていた。
だから俺もそういう所が遺伝したのだろう。
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清水ファンタジア(プロフ) - CCさん» 応援ありがとうございます。亀更新ではありますが頑張らせていただきます! (2021年7月8日 0時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
CC(プロフ) - 更新待ってました! ありがとうございます!!続きも楽しみにしています!頑張ってください! (2021年7月8日 0時) (レス) id: 8f9bdc23ee (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» BORUTOもそうですが、好きな話を沢山書いて練習していくといいと思います。人に見せてこそのものなので、BORUTOも頑張ってください (2020年12月18日 19時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
三色弁当 - 清水ファンタジアさん» 勇気の言葉ありがとうございます泣 NARUTOは軽くですが知ってるのですが次の世代のBORUTOを書いてるんですがそれをコツコツ書けばたくさんの方に呼んで貰えますかね、、? (2020年12月18日 16時) (レス) id: 02492f2e0b (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» 私も最初は全然上手くなかったんですけど、コツコツ書いていけば、ちゃん読んでくれる人が現れるので大丈夫ですよ! 最初はなかなか苦戦するかもしれないですが…… (2020年12月18日 16時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:清水ファンタジア | 作成日時:2020年10月6日 13時