第38話 ページ40
暫くするとテマリさんがママ友会に出かけ、シカダイの言う開かずの部屋に案内してもらう。
その部屋に着きシカダイが扉に触れようとした。
バチィッ! という大きな音を立てシカダイの手は弾かれた。
「と、まぁ、こんな感じだな……」
シカダイもこの部屋にあるものが何か気になっているようで、色々試しては見たもののダメだったらしい。
想いが強ければ強いほど、強固になる。
これは__
「シールド」
「シールド?」
「うん」
上手い説明の仕方が思いつかないので、とりあえずネックレスを取り出し杖にする。
ポケットの中から、カードを取り出し呪文を唱えようとしたその時だった。
「忘れ物した!」
玄関の戸が開く音とテマリさんの声が聞こえ、慌てて杖をシカダイの背後に隠す。
テマリさんが私とシカダイが、開かずの部屋の前にいることに気づきキョトンとした顔をしたあとぽつりと話し始める。
「ここにはな、結婚した時のものとか色々あるんだ。残念なことに開かないんだけどな」
「……そうなんですか」
「はっ、時間が無い。行ってくるな」
「行ってらっしゃい」
シカダイと共に再度テマリさんを見送ると開かずの間に再び向き直る。
今の話を聞いた以上やらないわけにはいかない。
いや……元々拒否はしないのだけれど。
テマリさんの美しい顔を涙で汚すわけには行かない。
「ソード」
持っていたカードの名を言うと杖が刀に変わる。
昔とはやはり異なる姿ではあるが、それでも私のカードであることには変わりないのでよしとする。
「刀で斬れんのか?」
「カード同士だから」
シカダイに告げるとシールドに向かって刀を振り下ろした。
パンッと言う破裂音がしたと同時に、刀から杖に戻しいつもの呪文を唱える。
「汝のあるべき姿に戻れ。クロウカード」
シールドがカードになり私の元へ来るのを確認したシカダイが恐る恐る扉を開けた。
中は至って普通の和室。
偏見のある人が見たらいいものがあるとは思えない。
だけどシカダイはそうじゃなかったらしく部屋を見つめていた。
「昔の俺達の部屋だ。母ちゃんと親父と川の字で寝てた頃の……」
物心着く前に今の部屋に移ったと言うシカダイにとっては、昔が懐かしいようでシカダイは優しげな顔で微笑む。
シカダイの考えてることまでは分からないが、大方今までここで過ごした日々に思い出しているのだろう。
シカダイが見せる余りにも優しい表情に私もつられて微笑んでしまった。
思い出はいつまでも褪せないものだ……。
110人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
清水ファンタジア(プロフ) - CCさん» 応援ありがとうございます。亀更新ではありますが頑張らせていただきます! (2021年7月8日 0時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
CC(プロフ) - 更新待ってました! ありがとうございます!!続きも楽しみにしています!頑張ってください! (2021年7月8日 0時) (レス) id: 8f9bdc23ee (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» BORUTOもそうですが、好きな話を沢山書いて練習していくといいと思います。人に見せてこそのものなので、BORUTOも頑張ってください (2020年12月18日 19時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
三色弁当 - 清水ファンタジアさん» 勇気の言葉ありがとうございます泣 NARUTOは軽くですが知ってるのですが次の世代のBORUTOを書いてるんですがそれをコツコツ書けばたくさんの方に呼んで貰えますかね、、? (2020年12月18日 16時) (レス) id: 02492f2e0b (このIDを非表示/違反報告)
清水ファンタジア(プロフ) - 三色弁当さん» 私も最初は全然上手くなかったんですけど、コツコツ書いていけば、ちゃん読んでくれる人が現れるので大丈夫ですよ! 最初はなかなか苦戦するかもしれないですが…… (2020年12月18日 16時) (レス) id: a394ff5f98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:清水ファンタジア | 作成日時:2020年10月6日 13時