なな ページ7
まって。なんで？？？
帰宅して早々、私は制服を脱がずに鞄も置かずに何をしているんだろう。
ソファーに座った隣の男を見て目眩がした。あっやべえ夢じゃない。
「そんでな、俺と勝負して欲しいねん」
「さ、左様で……」
てっきり今日は来ないと思って油断していたのだ。まさか3日連続で来るとは思わないだろう。
しかし期待を大いに裏切り、銀髪のチャラい先輩はやって来たのだ。
しかも兄がいない。そうだ、今日は兄が面談の日だ。何やってくれてんだ。
そして声を掛けられて今に至る。逃げるが勝ちとはいうが、その隙もないのにどうしろと。
「あ、角名から預かっといた鍵返すわ」
めっちゃうちのセキュリティゆるゆるになってるし。
だめだ怖い。顔が良いがカースト上位系怖い。
重たい腰を頑張ってあげてソファーから立ち上がる。
「ええと、お茶用意しますね…？」
「お構いなく！それより妹ちゃんと勝負したいねん！」
「え、ええ……？？？」
ダメだ。逃げられん。
そもそも何処で私がマリカガチ勢だ(った)とバレたんだ。
しかもゲームなんてしばらくやってない。高校受験のために封印していたのに。いきなり勝負しろだなんて。しかも顔がいい。
「せ、先輩」
「はい」
「う、うう」
……顔がいい！
「…ブランク、あって。練習させて貰えませんか……」
「……！！もちろん！」
先輩はぱぁっと驚きと喜びが混じったみたいな顔をした。
人生ほんと、何があるか分からない。
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作者名：- | 作成日時：2020年5月19日 15時
