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退屈なイベントは何かに変わる。
＊＊＊
いくら私たちが大の仲良しになってクラス中にデキてる疑惑が浮上しつつあるからとはいえ、教室を出れば話すことはほとんどない。
だってそもそも席が近いことがきっかけで距離が縮まったのだから当然っちゃ当然だ。
今日という一日、私は一言も彼と会話していない。
「キャァアアアア宮く〜〜〜〜ん！！！！！」
「侑くんかっこいいいいあああああ！！！」
年に一度の大イベント、体育祭だ。
体育祭の特徴としては女子達は運動神経が良い男子を黄色い声で応援しまくる。そりゃもう。すごい。
「全然見えない」
「一軍女子が前占領し過ぎやねん……Aなにそのおにぎり」
「さっきお腹を鳴らしてたら治くんがくれた。優しいなあの人」
「お前も一軍か？ああん？」
体育祭も終盤になってきたのに、男子たちへの応援は他の団に負けじとばかりにやまない。活力がすごい。
ちょっとトイレ行ってくる、とクラスのテントを離れて水道に向かうと、何時間ぶりかに会う角名くんがいた。隣には宮くんも。
「あ、A」
「あれっ、なんか出るの？頑張って」
この先には入場門があってそこで選手は待機するから、これから何かに出るのだろう。
宮くんにおにぎりありがとう美味しかったと付け加えると、彼はにっこり笑った。(角名くんはえ！？あげたの！？と驚いた顔をしている。)
「これからリレー」
「そっかぁ」
「……ちゃんと見ててね」
「？うん。すなくんが出るならちゃんと見る」
そう言うと彼は口角だけ上げてじゃあ頑張るね、と言った。
さっきまでの退屈が、彼と話しただけで嘘みたいに消えた。角名くんはすごい人だ。
＊
「え、なんなん？付き合ってるん？」
「誰と？」
「いや、角名と間宮さん」
「んなわけないじゃん」
「ハ？？？？？？」
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作者名：- | 作成日時：2020年4月25日 14時
