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28.二人に出会えて ページ28

***



いつものごとく、ふかふかのソファーの双子の間に座っていた。もうこの位置に違和感はない。


今日はバレーではなくてバスケを観ている。体育の授業でやってハマってしまったらしい。なんとも単純で可愛らしい理由だ。



「バスケって足使ってええん?」


治くんが赤い毛糸を指に絡めて首を傾げた。



「え、バレーはいいの?」


「たまに使ってる奴おるで」



へえ〜と治くんに差し出された毛糸を摘んではひっくり返してまた彼に返す。

最近何故か治くんがあやとりを私とやりたがる。無言でこれを繰り返して楽しいのか分からないけど、一日のこの時間のルーティーン化している。


治くんが毛糸で芸術を作る中、一方片割れは私の髪で芸術を作るのに夢中であった。



「ドリブルしながらあんなに速く走れるってえぐない?」


「手元見てないのがえぐいよね」


「Aちゃんできた〜」


「徐々に慣れてきた侑くんの編み込みの精度もえぐい」



パシャリと後ろから撮られた、完成された編み込みはなかなかハイレベル。最初はンーー!?とか言いながらやってたのに。

侑くんは無論バレーの道に進むのだろうが、こういう仕事も行けるかもしれない。てか、侑くんみたいな美容師さんたまにおる。




「ココア飲みたなってきたな、いるひとー」


ひと仕事終えた侑くんが立ちあがる。私と治くんははぁいと手を挙げた。



「今日やけに優しいやん。なんかあった?」


「俺の優しさを疑うなや」


「最近だんだん寒くなってきたよねぇ」


「ブランケット持ってこよか」



彼らのお姉ちゃんになって初めての冬が来る。

もうすぐ1年が終わる。
二人はこれから東京で大きな大会があるらしい。




観ててな!と元気いっぱいに家を出発する二人を見送ったのはそれから一ヶ月とちょっと。

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作者名:- | 作成日時:2020年3月13日 22時

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