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25.治くん的エスコート ページ25

屋根まで木でできた、木造建築。窓は小ぶりで可愛くて、店内にはハンモックまでかかってる。アンティークなデザインのカフェ。

そこは他ならぬ私がずっと行きたいと思っていた場所だった。



「私がここ来たかったって知ってたの?」


「お姉ちゃんのことならなんでも分かるで」


「また私のスマホ勝手に見たの?」


「いやそれはバレてるんかーい」



まぁ今回は許してあげよう。私が行きたい場所をわざわざ調べてくれたんだもの、と思ってしまうのはやはり甘いだろうか。



***



「美味しい?」


「幸せすぎてつらい」


「じゃあ俺も幸せや」



にこ、と柔らかく微笑まれて目が潰れた。
周りのお客さんがバタバタと倒れていく音がする。

わあ、私の弟尊すぎて殺傷力が高ぁい!


本人は気にせず(何が楽しいのか)バシャバシャと私の顔を撮って、フフと笑みを零した。



「この画像をツムに送って自慢したろ」


「なら一緒に撮ろうよ」


「ええの?」


「あ、」



治くんのキラキラした目を見て失言だったと気づいた。

何故なら周りのお客さんからの視線が凄い。やばい。地味子のくせに調子乗んな感がすごい。そんな敵意向けないでくれ、私は彼の姉です…!


しかし彼はそんな視線に気づいていないのかスルーしているのか、お構いなしにこっち側の席に移動する。



「ほなおとなり失礼」


「ふぁっ!?」


「はいお姉ちゃん笑って〜」


「いえーい!!(ヤケクソ)」



ぱしゃ。


ふと、写真を嬉しそうに片割れに送る彼を見てまた気を失っていくお姉さま方を見て気づいた。

カフェってなんだから、当たり前なんだけど。金欠だと言っていた彼は多分ここでは量を頼めない。




「……治くんさ、ここじゃ足りないでしょ」


「え?」


「吉○家寄ろ!私もまだお腹減ってる!!」



そうして私たちは牛丼を食らいに向かったのだ。



*


*



「今までの彼女、当たり前やけど俺の胃袋なんて気にしてへんかったのにな。お姉ちゃん優しすぎて尊い」


「デートひとつで惚気けすぎやろ」

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作者名:- | 作成日時:2020年3月13日 22時

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