【コリウスの爪痕】2 ページ9
放課後、たまに顔を出す居酒屋の個室の中で僕は頼んだビールをちびちび飲みながら、カルエゴくんを
盗み見る。彼はワインを傾けながら僕の言葉を待っているようで、良くないとは思いつつ…僕は嘘を混じえてカルエゴくんに相談があると持ちかける。
カルエゴくんは終始僕の言葉に耳を傾け、適切だと思われるアドバイスを幾つか返してくれた。
「それより。食べないのか、お前は」
サラダを取り分けながら、カルエゴくんが聞く。
「あ、うん。学校で軽く済ませてきたから…カルエゴくんは気にしてないかもしれないけど、やっぱりちょっと…」
枷に触れるとコツンと硬い音がする。仲良くなってから、友人として過ごし始めてから彼の前で幾度となく外したはずの枷。その中に隠された秘密が、今はただ恥ずかしくて仕方がなかった。
カルエゴくん以外の誰かを好きになったとしても、きっとこれは外せないし、外す気にもなれないだろう。
「今日は、少し変だぞ」
「…そんなこと」
ずっとずっと昔から、僕は僕じゃないみたいなんだ。
「ねぇ、カルエゴくん。僕、君のことが好きだったんだ、幸せだったよ。だから、君は君の好きな人をうんと大切にしてあげてね」
君は、とても不器用だから──。
これが少しでも酔った勢いで出た言葉だと、彼が誤解してくれていたらいいのに。への字になった口を一層歪めて、カルエゴくんは「お前に言われなくても…」と呟いた。
キリイル【クロユリの幻想】→←カルイル前提バラ→カル【コリウスの爪痕】
ラッキー使い魔(魔獣、精霊等出ます)
ケルピー
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しょくらぁと | 作成日時:2019年12月4日 19時