カルイル前提バラ→カル【コリウスの爪痕】 ページ8
どうか。許して欲しいとは言わないから、一生戻れなくてもいいから、伝えさせて欲しいんだ。
悪魔学校(バビルス)に在籍していた頃からカルエゴくんに淡い恋心を抱いてはいた。
でも、それを伝えればカルエゴくんは離れて行ってしまう。
だからこの恋心に蓋をして、ただの友人として隣に居続けることを選んだ。
カルエゴくんと入間くんがキスしている所を見るまでは…。
幸せそうな顔をする2人を見て、ドス黒い感情と共に今まで抑えてきたモノが溢れ出る。
僕はずっと、我慢してきたのに──。関係を壊したくない、そう臆病になっていた自分が呟いた。カルエゴくんのことも、入間くんのことも責めるつもりはないし、自分の選択が間違っていたとも思わない。
「でも…痛いなぁ」
小さな頃から、誰かを何かに怯えられて生きていた分この痛みには慣れていると思っていた。否、思いたかった。
それなのに、痛くて、苦しくて──息が出来ないくらい全身が締め付けられる。
「シチロウ?」
「カルエゴ…くん」
「どうしたんだ。こんな所で」
何時ものようにムスッとした顔で、カルエゴくんが聞く。何でもないよ、と答えられなくて僕は首を横に振ることしか出来ない。
お前らしくない、とカルエゴくんは呟いて学校へ戻ろうとする。
「あ、待って…」
弱々しい声だった。僕のものとは思えないほど弱々しくて、死にかけた雛のようなか細い声はカルエゴくんを引留める。
えっと、と何度か呟いて──結局絞り出せたのは、久しぶりにどこかに行かない?という言葉だけだった。
ラッキー使い魔(魔獣、精霊等出ます)
ケルピー
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作者名:しょくらぁと | 作成日時:2019年12月4日 19時