検索窓
今日:10 hit、昨日:9 hit、合計:18,398 hit

犬*209話* ページ19

部屋に着くとサラちゃんは早速IDカードを試した。

すると「認識しました」と音声が鳴った。


だけど目の前のモニターが一気にブツリと切れて。


「おい・・・!監視カメラの映像が消えちまったぞ!?」
「どうなってんだ・・・!?」


他の機材は動いている。消えたのはこのミニターだけだ。



「!そうだ、シャッター・・・!!」


サラちゃんは慌てたようにヒツギ管理システムを操作した。


なるほど・・・これでメイプルが墓地に入ってくることはなくなった。

ケイジさんの安全は守られる。


思わずほっと安堵の息を吐く。


『ね、ねぇ・・・棺は捜査できないの?』
「や、やってみる!」
「棺をまとめて操作できるよ。どうするの?」


ソウさんのAIの言葉に心臓がうるさく鳴った。


このまま開けば・・・ケイジさんを助けられる・・・!



「全ての棺を開けたよ!」


その一言で、全身の力が抜ける。

倒れかけた私の身体を、ランマルが咄嗟に支えてくれた。


「大丈夫か!?」
『ご、ごめん・・・。つい・・・・・』
「・・・開いたから大丈夫だとは思うけれど・・・。映像が見えない限り、安心はできないわよ」


恵梨香ちゃんの険しい表情に力を入れ直す。


・・・そうだ、まだ完全に安心できない。

ケイジさんがあの棺から出たかどうかは確認できてないんだから。


落ち着こうと深呼吸した、その時。





「うわっ!?」


砂嵐が起こったと思った直後、拳銃をこめかみに当てているマイさんの映像が流れだした。


『なに・・・これ・・・』
「私達が・・・死んだ時の・・・映像・・・!?」
「いやぁ・・・!!こんなのもう見たくない・・・!!」


それだけじゃない、ダミーズ全員の映像だった。

死ぬ瞬間の・・・犠牲者ビデオ。





________________そして私は見てしまった。


ランマルが・・・大好きな彼が、腹部から大量の血を流して死んでいく瞬間を。



「・・・A?」


分かってた。本物のランマルが死んだってことは。

目の前にいるのは人形で・・・記憶が埋め込まれてるだけで・・・。


分かってたはずなのに、どうして。


『あ・・・ああ・・・・』


映像は変わっていっているのに、ランマルのあの映像だけが脳裏に焼き付いていて。


「A!!」
『や、だ・・・!やだ、嫌だ!!ランマル!!!』



怖くて、悲しくて・・・咄嗟に目の前のランマルに縋り付いた。

犬*210話*→←犬*208話*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
200人がお気に入り
設定タグ:キミガシネ , 篠木敬二
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にこみうどん - っっっはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!最高すぎるではないですか!どうしたらこんな最高な小説かけるんでしょう。最高ですね。更新頑張ってくださいね! (6月17日 17時) (レス) @page39 id: d8578c819c (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです!!応援してます!頑張って下さい!! (6月13日 1時) (レス) @page39 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - とても素晴らしい作品ですー!!是非とも最後見たいので更新待ってますッッ (2023年4月1日 3時) (レス) @page37 id: adc5e1c6e8 (このIDを非表示/違反報告)
雫。(プロフ) - ここまで一気見してきました!とても面白かったです!更新待ってます! (2022年12月31日 22時) (レス) @page33 id: 221078456e (このIDを非表示/違反報告)
天弥(プロフ) - めっちゃ面白いです!無理しない程度に更新頑張ってください! (2022年4月24日 16時) (レス) id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みかづち | 作成日時:2021年8月18日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。