時のイタズラ (ページ34)

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失恋ページ34

A「あの、今朝はあんなこと言ってすみません。本当に反省してます」

土「いや、俺も悪かったな」

続かない会話

ただ土方さんが口から吐く煙が上へと昇っていく

土「で、話ってなんだ」

A「あの、私は土方さんを好きだと言いました。でも、そのことはもう忘れてください」

あぁ、言ってしまった

土「はぁ？！なんで」

驚いてる

それはそうだ

A「勝手だってことは分かってるんです！でも、私の好きは憧れだったんです。それに気づいたから。そうしたら、自分が恥ずかしくなっちゃって」

そう、これが理由

だから他のことはもう何も聞かないで

土「…俺は…俺はまだ答えを出してないぞ」

なんでいつも違うことを

思っていることと違うことを聞いてくるの

そんなこと言われたら

諦められない

あぁ

また泣いてしまう

A「答えなんて分かり切ってるし、それに本当に好きじゃないのに好きでいるのはなんか違うかなって。だから、ご迷惑かけてすみませんでした。これからもお世話になると思いますが、面倒を見てくれますか？」

これ以上この人の前で泣きたくない

笑顔でいたい

見たいと思ってくれてるであろうこの笑顔を

見せたいから

土「…」

土方さんは黙ってしまった

どうして？もう考えなくていいんだよ？

楽になるんだよ？

なのにどうしてそんな悲しい顔をするの？

分からないよ

土「…分かった。今朝の話は聞かなかったことにしておく。ただ、条件がある。これからはそんな泣きそうな顔を見せるな。いいな？」

A「っ！はい…」

土「それじゃあ話は終わりだ」

A「失礼しました」

また泣いてしまう

ダメ

まだ

この人の前から去るまでは

この人の前では笑顔でいなくちゃ

私の初恋はこれで終わった

深入りはしない人

後悔なんてしないわけない

これでいいなんて思ってない

できれば土方さんが誰とも付き合わなければいいとさえ思っている

でも、土方さんが惚れた人には幸せになってもらいたいみたいに

私も土方さんには幸せになってもらいたい

困った顔は見たくない

だから

A「…これでっ…これで…いいの…」

恋がこんなに苦しいのか

恋がこんなに悲しいのか

そんなの分からないよ

教科書なんてないし

マニュアルもない

経験しなくちゃ分からないなんて

辛すぎるよ

私は土方さんの部屋の前で泣き崩れた

涙は流しても声は出さないようにした

目が腫れちゃうなぁ